泌乳最盛期におけるアルファルファサイレージ多給効果


[要約]
アルファルファサイレージはイネ科牧草サイレージと比較し、多給しても採食量、乳量の減少は少ない。そのため、単独あるいはコーンサイレージと混合し、乾物割合で75%程度まで増加させても、エネルギー不足なしに高い乳量を維持できる。
[キーワード]
動物栄養、乳用牛、アルファルファ、採食量、乳量、乳成分
[担当]北農研・畜産草地部・上席研究官、家畜生理繁殖研
[連絡先]011-857-9269
[区分]北海道農業・畜産草地、畜産草地
[分類]技術・普及
[背景・ねらい]
北海道においては、飼料自給率向上を目指して、地域適応性に優れたアルファルファ品種の栽培面積増大が図られている。そこで、泌乳牛におけるアルファルファサイレージの多給限界を明らかにするため、泌乳最盛期の泌乳牛を用い、イネ科牧草との比較、粗飼料源としてアルファルファ単独で給与した場合とコーンサイレージと併給した場合の給与割合と採食量及び乳生産との関係について検討する。
[成果の内容・特徴]
  1. 同一日に刈取り調製した一番刈イネ科牧草(オーチャードグラス)とアルファルファ低水分サイレージを、乾物割合で各々40%と60%配合飼料と混合し、泌乳最盛期の乳牛4頭に4×4のラテン方格法に割り当て、飽食させた。その結果、混合割合が同じ場合、アルファルファ給与区の方が乾物摂取量は高く、乳量も高い傾向を示した。60%給与時にはイネ科牧草給与区ではTDN摂取量が充足されていないのに対し、アルファルファ給与区ではTDNも充足されている(表1)。
  2. アルファルファサイレージ単独あるいはコーンサイレージ併給(乾物比1:1)したものを45、60、75%の乾物割合で配合飼料と混合し、3×3のラテン方格に割り当て、給与割合の影響を検討した。その結果、アルファルファ単独でもコーンサイレージを併給した場合においても、75%区で乾物摂取量は22kg以上、FCM乳量は35kg以上の高い水準に維持され、エネルギーもほぼ充足されている(図1図2表2)。
  3. 以上、アルファルファはイネ科牧草と比較し、多給しても採食量、乳量の減少は少なく、泌乳最盛期においても、乾物割合で75%前後まではエネルギー不足を起こさず、生理的にも正常な状態で多給できる粗飼料である。
[成果の活用面・留意点]
  1. 泌乳最盛期のアルファルファ給与水準を設定するのに利用できる。
  2. 本結果は完全混合給餌条件下での結果であり、粗飼料を別途給与する分離給与条件では、嗜好性等の影響を考慮する必要がある。

平成13年度北海道農業試験会議成績会議における課題名及び区分
課題名:高泌乳牛に対するアルファルファサイレージの多給技術(普及推進)
[その他]
研究課題名:低水分アルファルファサイレージの栄養価評価
予算区分 :交付金プロ(地域総合)
研究期間 :1998〜2001年度
研究担当者:押尾秀一、大谷文博
主要論文等:押尾、大谷(2001)第98回日本畜産学会講演要:75

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