アルファルファ単播草地の早刈条件下における維持年限


[要約]
アルファルファ単播草地(春に造成し造成年秋の個体密度が1平方メートル当たり約300〜350個体)に対し、高品質飼料生産を目指した早刈りを行っても、造成後4年目まで粗蛋白質含量を約20%に、年間乾物収量を800kg/10a以上に維持でき、雑草割合も低い。
[キーワード]
栽培、アルファルファ、単播草地、早刈、収量、雑草、維持年限
[担当]北農研・畜産草地部・草地生産研究室、総合研究部・総合研究第3チーム
[連絡先]011-857-9235
[区分]北海道農業・畜産草地
[分類]技術・普及
[背景・ねらい]
アルファルファは高蛋白で嗜好性が高く、消化管通過速度が速いことから高泌乳牛用粗飼料としての評価が高い。このような飼料特性を有効に利用するためにはアルファルファと高エネルギー粗飼料であるトウモロコシを組合せた飼料給与が適している。そこで、アルファルファとトウモロコシの短期輪作を想定し、アルファルファ単播草地(春に造成し造成年秋の個体密度が1平方メートル当たり300〜350個体)において高品質な飼料生産を目指した早刈収穫を行ったときの維持年限を明らかにする。
[成果の内容・特徴]
  1. 造成後2年目以降、概ね草丈80〜90cm、着蕾期を目途とする早刈(越冬性を加味して札幌では10月中旬までに4回刈、十勝では9月上旬までに3回刈)を行うことにより、各番草とも粗蛋白質含量が約20%のアルファルファを収穫できる(図1)。
  2. 造成後2年目以降4年目まで約800〜1000(DMkg/10a)の年間乾物収量が得られ、年間乾物収量に対する雑草割合は10%以下に維持できる(表1)。
  3. アルファルファの個体密度は、経年化に伴い徐々に減少するが、個体サイズが大きくなることにより生産力は維持される(図2)。また、道東の十勝では、札幌に比べ減少割合が大きい。
  4. 各刈取時の雑草割合は番草により変動するが、造成後4年目まで概ね20%以下に維持できる(図3)。
  5. 以上から、春に造成し造成年秋の個体密度が1平方メートル当たり約300〜350個体のアルファルファ単播草地の早刈り条件下における維持年限は4年程度と判断される。
[成果の活用面・留意点]
  1. アルファルファとトウモロコシの短期輪作による作付計画に活用できる。
  2. アルファルファの造成初期の個体密度が低い場合は雑草の侵入が早まり、維持年限は短縮される。
  3. この試験は、札幌と十勝中央部(芽室)で、マキワカバ(札幌)、ヒサワカバ(十勝)を用いて行った結果である。

[その他]
研究課題名:アルファルファ単播草地の造成と管理・利用技術の開発
予算区分 :交付金プロ(地域総合)
研究期間 :1998〜2001年度
研究担当者:高橋 俊、池田哲也、小川恭男、糸川信弘、八木隆徳、三枝俊哉、手島茂樹
発表論文等:小川ら (1999) 北草研報 33:41.
      小川ら (2000) 北草研報 34:58.
      小川ら (2000) 日草誌 46(別):200-203.
      高橋ら (2001) 北草研報平13年度研究会講演要旨号:17

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