ドライケミストリー法による小麦α−アミラーゼ活性簡易迅速測定


[要約]
ドライケミストリー法によるα−アミラーゼ活性の測定システムは、既存の液体法(Ceralpha法)と高い相関性を有する。測定操作や装置の保守が簡単であるため簡易迅速測定が可能で、アミロ値等のデンプン粘度の推定が可能である。
[キーワード]
小麦、低アミロ小麦、α−アミラーゼ活性、ドライケミストリー
[担当]北農研・畑作研究部・麦育種研究室、品質制御研究チーム
[連絡先]0155-62-9210
[区分]北海道農業・流通利用
[分類]技術・参考
[背景・ねらい]
北海道の小麦栽培においてしばしば穂発芽等によりデンプン粘度の著しく低下した低アミロ小麦が発生する。デンプン粘度の測定には通常アミログラフやフォーリンブナンバーが使用されるが、これらの方法は試料の準備や測定に時間を要する。そこで、デンプン分解酵素であるα−アミラーゼ活性値からデンプン粘度を簡易迅速に推定するため臨床分野で主に用いられているドライケミストリー法の小麦への適応性を検討する。
[成果の内容・特徴]
  1. ドライケミストリー法は、液体法のような酵素反応液の調製や配管系が不要なため操作や保守が容易で、スライドへの抽出酵素液滴下から分析機中での反応を経て最終的に生成するパラニトロフェノールの吸光度測定まで要する時間が約6分で、40点/時間のα−アミラーゼ連続測定が可能である(図1)。
  2. ドライケミストリー法による全粒粉のα−アミラーゼ活性値は、標準測定法であるCeralpha法(液体法)との相関が極めて高く、両測定法の間で品種間差もほとんど認められない(図2)。
  3. ドライケミストリー法によるαアミラーゼ活性値からアミロ値(アミログラム最大粘度)及びフォリングナンバー値の推定が可能である(図3)。
  4. ドライケミストリー法による本システムは、小麦α−アミラーゼ活性の簡易迅速測定とアミロ値等のデンプン粘度の推定に使用できる。
[成果の活用面・留意点]
  1. 酵素の抽出条件によってα−アミラーゼ活性値は変動するので、既定の抽出液を使用する必要がある。
  2. 測定精度においてCeralpha法よりも若干劣るが、実用上問題のないレベルである。

平成13年度北海道農業試験会議(成績会議)における課題名および区分
課題名:ドライケミストリー法による小麦α−アミラーゼ活性簡易迅速測定(研究参考)
[その他]
研究課題名:寒地向け穂発芽耐性・赤かび病抵抗性良質小麦品種の育成、小麦登熟期の低温・高湿条件による品質劣化の生理的要因
予算区分 :21世紀プロ(1系)
研究期間 :1999〜2001年度
研究担当者:西尾善太、高田兼則、桑原達雄、一ノ瀬靖則、山内宏昭
発表論文等:一ノ瀬ら(2001)日作紀 70(4):588−594
      升田ら(2001)作物学会講演要旨・資料集:146-147

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