製パン適性が優れる秋まき小麦新品種候補系統「北海257号(キタノカオリ)」


[要約]
秋まき小麦「北海257号(キタノカオリ)」は「ホクシン」と比較し、収量性がやや劣るが、赤さび病抵抗性、うどんこ病抵抗性および耐倒伏性は優れる。粉質は硝子質であり、小麦粉は黄色みが強く、製パン適性は優れる。
[キーワード]
  秋まき小麦、キタノカオリ、パン適性、硝子質、うどんこ病抵抗性
[担当]北農研・畑作研究部・麦育種研究室
[連絡先]電話 0155-62-9210、電子メールtabiki@naro.affrc.go.jp
[区分]北海道農業・作物
[分類]技術・普及

[背景・ねらい]
北海道では主にめん用に使われる秋まき小麦とパン用の春まき小麦が栽培されている。そのうちの9割近くを占めるめん用の「ホクシン」は生産過剰気味であるが、一方パン用として需要の高い「ハルユタカ」は度重なる穂発芽被害等で供給量が減退するなど、民間流通に移行してもなお需給のミスマッチが続いている。そこで、パン用に利用できる秋まき小麦品種の育成を行った。
[成果の内容・特徴]
  本系統は、1987年度(以降播種年度をもって示す)に北農試(現北農研)において「ホロシリコムギ」×「GK Szemes」の交配を行い、以降、派生系統育種法で選抜・固定を図ってきたものである。2001年度の世代は雑種第14代である。
「ホクシン」と比較して、次のような特徴がある(表1)。
1. 出穂期で6日、成熟期で5日程度遅い中生である。
2. 稈長はやや短く、穂長はやや長く、穂数はやや少ない。耐倒伏性はやや優れる。
3. 耐雪性はほぼ同程度である。赤さび病抵抗性、うどんこ病抵抗性は優れ、赤かび病抵抗性はやや優れる。コムギ縞萎縮病抵抗性は同程度に劣る。穂発芽性は同程度である。
4. 収量は育成地ではやや劣るが、試験実施場所では同程度から劣る。1リットル重、千粒重は大きい。
5. 粉質は硝子質であり、製粉歩留、ミリングスコアはほぼ同程度である。
6. 粉の明るさは低いが、赤みは同程度である。黄色味は高い。
7. ファリノグラムの吸水率は高く、バロリ−メーターバリュウは高い。
8. 製パン性は優れ、「ハルユタカ」以上である。
[成果の活用面・留意点]
 
1. 北海道の秋まき小麦栽培地帯に適応する。
2. 耐雪性は「ホクシン」と同じ"やや強"であるが、多雪地帯での冬損程度がやや多い傾向があるので、適切な管理に努める。
3. 赤かび病抵抗性、穂発芽性は必ずしも強くないので、防除の徹底と適期収穫を励行する。
4. パン用であるので、蛋白含量が低くならないように肥培管理に努める。
[具体的データ]
 
[その他]
研究課題名: 寒地向き高品質安定多収小麦品種の育成
予算区分: 交付金
研究期間: 1987〜2001年度
研究担当者: 田引正、高田兼則、西尾善太、桑原達雄、尾関幸男、田端聖司、入来規雄、山内宏昭、一ノ瀬靖則


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