地表水排除と地下水位調節がともにできる暗渠


[要約]
吸水管の上流端を立ち上げて開閉栓と泥上げ中底を付け、さらに排水口の高さを調節できるようにした暗渠である。排水路の対辺側における表面水の落水が可能であり、真夏の連続晴天時における地下水位の低下速度を遅らせることができる。
[キーワード]
  暗渠上流端、落水縦暗渠、表面排水、暗渠排水口高さ
[担当]北農研・総合研究部・農地農業施設研究室
[連絡先]電話011-855-9233、電子メールnkym@affrc.go.jp
[区分]北海道農業・総合研究
[分類]技術・参考

[背景・ねらい]
水田区画が拡大され排水路から対辺までの距離が長くなると、排水路の対辺側における表面排水が遅れがちになる。一方、転作直後の土壌は熟畑土壌とちがって植物に利用可能な有効水分が少ないので、過湿の害だけでなく過乾の害も生じやすい。盛夏の連続晴天時には、地下水位を下げすぎない方がよい場合がある。
もし暗渠の上流端を立ち上げてそこから地表水を落とし、同時に暗渠排水口の高さを変えられるようにすれば、排水路の対辺側における表面排水を向上させるとともに、地下水位をあまり下げずにすむ可能性がある。模型実験によってその可能性を検証する。
[成果の内容・特徴]
 
1. 図1の土槽で、落水縦暗渠の栓を閉じたままであれば通常の暗渠である。栓を開ければ表面水が縦暗渠から落水され、横暗渠→排水口の経路で排除される。図2の通り、落水縦暗渠の開放で地表水の消失時間が大幅に短縮する。つまり、縦暗渠は横暗渠の上流端付近、すなわち排水路の対辺側において、地表水の落水口として働くことができる。
2. 地下水分布が測定でき、かつ継ぎ手から上部を交換することで排水口の高さを任意に調節できる土槽で調べたところ、地下水位は排水口の高さにほぼ等しくなる(図3)。
3. 実際の転作田にはもともと排水路側に落水口がある。横暗渠の上流端を立ち上げて落水縦暗渠にすれば、地表水は排水路側と対辺側の双方から落水されるので地表排水が促進される。圃場の両側から落水する場合、額縁明渠を掘るなどして落水口と落水縦暗渠まで表面水を導くのが効果的である(図4)。
[成果の活用面・留意点]
 
1. 代かき水田の中干し時のように土が軟らかい状態での対辺落水時には、落水縦暗渠への泥土流入が多いので排水口を下げたままにしておく。転作時の場合は、雨水に伴う泥土の流入が少ないので、排水口を立ち上げたままにしておいても問題がない。
2. 実際の圃場では地下水の一部が暗渠を通さずに排水路に直接流出する。排水口を立ち上げただけでは高地下水位を必ずしも長時間保てない。この方法による効果を高めるには、排水路を管路化する等、地下水の暗渠外流出を防ぐことが必要である。
3. 額縁明渠とつなぎやすい落水縦暗渠、高さ調節がしやすい排水口については、現場の条件に応じて形状を工夫すべきである。
[具体的データ]
 
[その他]
研究課題名: 地表水排除機能と地下水位調節機能を併せ持つ暗渠の開発
予算区分: 交付金
研究期間: 2000〜2002年度
研究担当者: 中山熙之、後藤眞宏


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