乳蛋白質生産量による泌乳牛の乾物及びTDN摂取量の推定


[要約]
乳蛋白質生産量と体重から乾物摂取量とTDN摂取量が推定できる。
[キーワード]
  家畜生理・栄養、乳牛、摂取量、乾物、TDN、乳蛋白質、推定式
[担当]北農研・畜産草地部・上席研究官、同・同部・家畜生理繁殖研究室
[連絡先]電話011-857-9269、電子メールshuichi@affrc.go.jp
[区分]北海道農業・畜産草地、畜産草地
[分類]技術・参考

[背景・ねらい]
泌乳牛における摂取量の推定は、農家において飼料設計および飼料診断を行う上で極めて重要である。実際に農家が容易に利用できるデータとしては、分娩経歴、乳量、乳成分、推定体重等があるが、これらの要因の中から乾物及びTDN摂取量を精度良く推定可能な推定式を作成する。
[成果の内容・特徴]
 
1. 粗飼料として種々なイネ科牧草とアルファルファの乾草及びサイレージ、稲わら等を用い、10~100%の粗飼料割合で濃厚飼料と混合し、自由摂取させたホルスタイン泌乳牛延べ219頭の消化試験と泌乳成績の結果から、分娩経歴、体重、乳量、乳成分と乾物及びTDN摂取量との関係を検討する。飼料成分と泌乳牛の条件は表1に示す様に比較的広い範囲のものである。
2. 表2に示すように、乾物摂取量とTDN摂取量は産次、分娩後週齢との相関は小さいが、体重及び乳成分生産量との相関係数はいずれもP<0.001で有意であり、乳蛋白質生産量(MP)が他の乳成分生産量よりも乾物摂取量およびTDN摂取量と高い正の相関関係を示す。
3. 分娩経歴、体重及び乳量、各乳成分生産量から求めた乾物摂取量推定式を表3の(1)~(4)式に、TDN摂取量推定式を(5)~(8)式に示す。表3の(1)式及び(5)式はP<0.01で有意になるすべての変数を組み入れた式であるが、(2)、(3)式、(6)、(7)式は簡便化のために乳蛋白質生産量のみと体重を含めた推定式である。FCMと体重による推定式を(4)式と(8)式に示す。
4. 乾物摂取量推定式(2)と(3)式の精度を確かめるため、都府県公立場所で得られたデータ(1998年公表データ)を、FCMと体重での推定値(日本飼養標準・乳牛1999版)と比較したところ、日本飼養標準推定値、(1)、(3)式とも差のない推定値が得られる(図1)。これらのことから、乳蛋白生産量はFCMと同様、乾物摂取量の推定に有効であり、TDN摂取量も推定することが可能である。
[成果の活用面・留意点]
 
1. 牛群検定を行っている農家においては、個体毎の乾物摂取量とTDN摂取量を推定でき、より精密な飼料設計が可能になる。
2. TDN摂取量推定値は要求量と比較することにより、給与飼料の品質及び乳牛の栄養の過不足を判定する材料として利用できる。
3. 本推定値は分娩後6週目以降、乳量がほぼピークに達した以降の摂取量の推定に用いることができる。推定精度を上げるためには、乳量、乳成分測定の1週間以上前から同一飼料を給与することが望ましい。
[具体的データ]
 
[その他]
研究課題名: 泌乳初期の採食調節における物理的要因の役割の解明
予算区分: 交付金
研究期間: 2002〜2004年度
研究担当者: 押尾秀一、大谷文博、安藤貞、石田元彦、押部明徳


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