1. |
北農研内のCd人工汚染土壌(枠)では、土壌有機物の多い土壌ほど全Cd含量が高いにも関わらず、交換態Cd含量及びダイズ子実Cd含量が少なく(図1)、土壌有機物はCdを不溶化する。 |
2. |
有機物資材や炭カルを施用した淡色黒ボク土圃場の土壌pHとダイズ子実Cd含量の間には負の相関があり(図2)、土壌pHの上昇は子実Cd含量の低下をもたらす。 |
3. |
しかし、同程度の土壌交換態Cd含量において、厩肥、バーク堆肥施用ではダイズ子実Cd含量が低下するのに対し、pHの高い炭カル含有腐植酸質資材施用では交換態Cd含量が少なくなるにもかかわらず、子実Cd含量が低下しない(図3)。
さらに、ポット試験において、pHの高い厩肥、バーク堆肥だけでなく、pHの低いピートモス施用でもダイズ子実Cd含量の低下がみられ(図4)、厩肥やバーク堆肥施用による子実Cd含量の低下には、pH上昇効果以外に土壌有機物と同様に施用有機物によるCdの不溶化作用が関与している。 |
4. |
厩肥の作条施用(20t/ha)は全面全層施用(20、40t/ha)よりダイズ地上部のCd含量を低下させる(図5)。これは、養分含量の高い厩肥の周囲での根の発達が土壌からのCd吸収の減少をもたらす要因の一つであることを示しており、厩肥の作条施用はCd吸収抑制に効果的な方法と判断される。 |
5. |
以上の結果より、厩肥と炭カルを併用し、有機物の持つCd不溶化作用や高pH等の特性を利用することによって、Cd自然賦存土壌におけるダイズのCd吸収を効果的に抑制でき、また、厩肥を単独施用する場合は作条施用が優る。なお、土壌pHの上昇が望ましくない作物の場合はpH調整されていないピートモスのようなpHの低い資材の利用も考えられる。 |