1. |
多様な放牧利用に対応できる放牧草地の施肥指針を策定するため、草地の養分現存量と年間の養分補給量という2つの指標を用いる。 |
2. |
草地の養分現存量は、放牧草地の草量を確保するために必要な養分量であり、地上部の牧草に含まれる養分量を調査することにより、間接的に推定できる。 |
3. |
地上部養分現存量は利用時の草丈に強く影響される(図1)。このことから、放牧草地の草量を確保するために必要な養分量は、利用時の草丈が長い放牧方法では多く、短い時には少なく設定する。この量の過不足評価とその修正は、土壌診断や作物栄養診断等によって行う。 |
4. |
年間の養分補給量は、放牧草地からの養分収奪を補う量である。肥料養分は、放牧家畜によって草地から持ち出されるが、一部は、糞尿の排泄には草地に還元される。この差し引き量を肥料で補給する。この値は、採食された牧草に含まれる養分量(養分被食量)を調査することにより、間接的に推定できる。 |
5. |
年間の養分被食量は、延べ放牧頭数に強く影響される(図2)。このため、放牧草地への養分補給量は放牧圧の高い草地では多く、低い草地では少なく設定する。また、この養分補給量は放牧圧と放牧期間が決まれば推定可能である。 |
6. |
以上により、放牧草地における施肥対応は、以下の流れで整理できる(図3)。
1) |
地域と放牧圧に基づいて年間の養分補給量を算定する。 |
2) |
土壌診断や作物栄養診断などの結果から、草量確保に必要な養分現存量の状態を評価し、その過不足を修正するために必要な施肥量を算定する。 |
3) |
上記の年間養分補給量と養分現存量の過不足の修正に要する施肥量を加え、放牧草地における年間施肥量とする。 |
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