超強力粉ブレンドによる米粉ブレンド粉の製パン性の改善


[要約]
超強力粉とその他の各種素材を用いる米粉ブレンド粉の製パン性の改良製法により外国産パン用粉のパンと同等のパンが得られる。この米粉パンは保存中の硬化が非常に遅く、食感に弾力がある。
[キーワード]
  米粉パン、超強力粉、乳化剤、酵素、硬化
[担当]北農研・畑作研究部・品質制御研究チーム
[連絡先]電話0155-62-9278、電子メールyamauti@affrc.go.jp
[区分]北海道農業・流通利用
[分類]技術・参考

[背景・ねらい]
最近、米粉ブレンドパン(米粉パン)は米の需要拡大の目的で盛んに研究されているが、相当量のグルテンを添加しても米粉が生地の製パン性を低下させるため高品質のパンができず、期待以上に需要が拡大していないのが現状である。また、米粉ブレンド粉の製パン性が劣る主原因は、柔らかい生地物性と低い生地のガス保持性であると考えられている。そこで、本研究では、強靱なグルテンを持っており生地物性の改善の期待できる超強力粉と乳化剤、酵素、イーストガス発生促進剤を用い、米粉ブレンド粉の製パン性の改善を検討する。
[成果の内容・特徴]
 
1. 代表的外国産パン用強力粉HRW(ハード・レッド・ウインター)の代わりに超強力粉(Wildcat)
を添加することによって、米粉ブレンド粉の製パン性がかなり向上する(図1)。
2. 超強力粉、乳化剤(SMG;コハク酸モノグリセリド)、セルラーゼ(セルラーゼY−NC;ヤクルト製)、塩化アンモニウム(NHCl)を適当量添加する改良製法によって、HRWと同等の比容積、内相の米粉パンが得られる(図2)。
3. 改良製法の米粉パン生地は、HRW生地より劣るがそのガス保持性がかなり向上し、生地のガス発生量はHRW生地以上である。また、改良製法の米粉パンの外観上面、内相の色相は、内相の明度(L*)が高い以外、対照のHRWのパンとほぼ同等である(表1)。
4. 改良製法の米粉パンは、対照のHRWのパン、HRW添加米粉パンに比べ保存中の硬化が非常に遅く、対照のHRWのパンに比べ凝集性値も高くモチモチした弾力のある食感のパンである(図3)。
[成果の活用面・留意点]
 
1. 超強力粉のロット等の違いによって製パン性の改善効果に差異がある可能性があるので、最適添加量をロット毎に事前に検討する必要がある。
[具体的データ]
 
[その他]
研究課題名: 北海道産硬質小麦粉生地の物性・デンプン特性の評価・解析と最適ブレンド技術の開発
予算区分: 新事業創出(生研機構)
研究期間: 2001〜2005年度
研究担当者: 山内宏昭、遠藤千絵、野田高弘


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