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[背景・ねらい] |
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乳牛育種の改良目標は305日総乳量であるが、その中味、つまり、泌乳のどの時期にどれだけ乳量を増加させるかという観点からの選抜技術は開発されていない。特に、泌乳前期の高乳量は疾病多発、繁殖性低下を導きやすい面もあり、これからの乳量増加は泌乳前期よりもむしろ中・後期の乳量増加が必要になっている。 |
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[成果の内容・特徴] |
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1. |
泌乳曲線のp次までの回帰係数を変量効果として扱う検査日乳量モデルにおいて、それらの回帰係数の遺伝分散、回帰係数間の共分散および泌乳ステージ毎の改良乳量をもとに選抜指数式が作成される(式1)。 |
2. |
泌乳ステージは、任意に全乳期を分割できる。泌乳ステージ毎の改良乳量は、実乳量でなくても比で与えることができる。 |
3. |
開発された手法の例として、現在の総乳量に対する3%の改良を全乳期一様でなく、乳期を5-23-42-60-180-300-305の6期に分けた選抜指数を示す。泌乳前期の改良量を0にし、泌乳中・後期に大きく配分するため5-(0)-23-(0)-42-(0)-60-
(0.03×63%)-180
-(0.03×37%)-300-(0)-305とする。( )内の数字は現在の総乳量に対する改良乳量%である。0から5次までのLegendre変量回帰係数の分散共分散推定値は220万頭のオランダホルスタイン集団をもとにギッブズサンプリング手法により得られたPool等(2000)の値を用いている。305日乳量を3%改良する場合の従来の選抜法と本選抜指数法から期待される泌乳曲線を図1に示す。上記のステージ別改良乳量をあてはめ、5-G1-23-G2-42-G3-60-G4-180-G5-300-G6-305とjステージの推定育種価をGjとした時の選抜指数式(I)は
I=-2.22581G1+7.07419G2-6.55475G3+0.29805G4-0.13643G5+1.22754G6と示される。
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[成果の活用面・留意点] |
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1. |
従来の305日総乳量選抜は、泌乳前期にも乳量が上がることを避けられないが、本手法は、それを回避して泌乳前期でなく、泌乳中・後期の乳量増加に活用できる。 |
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