オホーツク海沿岸重粘土の簡易排水法


[要約]
オホーツク海沿岸地域には、重粘土で覆われた3面の海岸段丘面が広く分布し、排水不良となっている。深さ4mから7mに砂層が分布する第2、3海岸段丘面の重粘土において、建柱車で7mの孔を掘る方法は、簡便で土壌の表面に滞水する水の排水効果が極めて高い。
[キーワード]
  簡易排水法、建柱車、重粘土、オホーツク海沿岸地域、土壌表面滞水
[担当]北農研・畑作研究部・遺伝資源利用研究室
[連絡先]電話01582-7-2231、電子メールnakakei@affrc.go.jp
[区分]北海道農業・生産環境
[分類]科学・参考

[背景・ねらい]
重粘土の排水対策は、暗渠の施工と心土破砕の組み合わせで行われているが、暗渠は経費がかかるため、施工は限られている。そのため、オホーツク海沿岸の重粘土で利用できる簡便な排水法が望まれている。重粘土が主に分布している3面の海岸段丘のうち、第2(中位)、第3(低位)段丘面の深さ4mから7mに、砂の層があることがわかっているので、電柱を埋設する建柱車を使って砂層まで孔を開けて、土壌表面の滞水を簡易に排水する方法の効果を明らかにする。
[成果の内容・特徴]
 
1. 建柱車は直径40cm、深さ4m用の掘削ドリルを装備しているので、7m用のアタッチメントを追加して使用する(図1)。掘削時間は30分程度なので、移動距離が少ない場合、1日当たり10孔以上掘削できる。
2. 砂層に届かない孔では、孔に溜まった水は1日当たり数cmしか排水されないが、7mの孔を施工すると1日当たり1.5m排水できる。平均斜度1.2度、集水面積5264m2の畑に設置した孔は、連続した降雨で積算降水量が59mmを超えるとオーバーフローする。施工4年の孔でも、1日当たり1m以上の排水効果は続いてるので、効果は5年以上継続する。
3. オホーツク海沿岸の重粘土は、主に海岸段丘上に分布しており、草地や畑地として利用されている。調査の結果、深さ4mや7mに砂の層が分布するのは、紋別市小向など一部の地域を除き一番低い第3(低位)海岸段丘面と、その上にある第2(中位)海岸段丘面である(図2)。そこで、1:50000地形図上に利用可能部分を斜線で示した利用可能マップをもとに、簡易排水法が利用できるかを判断する(図3)。
4. 排水不良の畑を区切り、直根性のルピナスを栽培して簡易排水の効果をみると、施工により根の重量が20%以上増加し、直根が長くなる。また、施工しない部分で多くみられる根元から直角に太い根が出る株が減少する(表1)。
[成果の活用面・留意点]
 
1. オホーツク海沿岸地域の北海道開発局農業開発事務所や農業改良普及センターに資料を公開して、簡易な排水法として紹介する。
2. 地下水を汚染しないため、汚水などが流入しないように施工する。また、緩衝地帯の設置や孔の周辺には肥料を散布しないなどの対策を行う。さらに、圃場管理時には、孔に注意する。
3. 河岸段丘など紛らわしい地形があるので、マップだけで判断するのではなく、事前に崖や切り通しなどの断面調査を行う。
4. 必要となる排水孔の数は、受水面積や傾斜等により変わる。なお、排水孔には埋没や安全対策として、ホタテの貝殻などを詰める。
[具体的データ]
 
[その他]
研究課題名: 遺伝資源作物導入のための重粘土局所的湿害回避法の開発
予算区分: 交付金
研究期間: 2000〜2002年度
研究担当者: 中司啓二、丹羽勝久、藤崎浩孝、藤田郁男


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