晩生の極良食味耐冷水稲新品種候補系統「渡育240号」


[要約]
水稲「渡育240号」は道南地域向けの良質・良食味の晩生種で、「きらら397」の一部に替えて作付けする。「きらら397」と比較して食味に優れ、耐冷性が強く、同程度の収量性がある。
[キーワード]
  水稲、晩生種、食味、耐冷性
[担当]道南農試・研究部・作物科
[連絡先]電話0138-77-8116、電子メールtanakakz@agri.pref.hokkaido.jp
[区分]北海道農業・作物
[分類]技術・普及

[背景・ねらい]
「きらら397」は北海道米としてネームバリューが高く、生産者の作付け意欲も高いが、奨励品種の中では耐冷性・食味が劣るため、さらに耐冷性が強く食味の良い品種が強く求められている。
道南地域に適した良食味・耐冷性の晩生品種を導入することで「きらら397」等の中生品種に過度に偏重した品種構成を是正し、危険分散・熟期分散を図り、道南地域の米の品質・食味を向上させ、その生産の安定と販路の拡大を図る。
また道南の“売れるコメ作り”を推進する上で、「渡育240号」を道南独自のコメブランドとして位置づけ、「地産地消」の具体的な差別化商品とすることにより、道南農業の振興に寄与できる。
[成果の内容・特徴]
 
1. 「渡育240号」は平成5年に良食味系統の「空系90242B」を母、耐冷・良食味系統の「上育418号」(後の「ほしのゆめ」)を父として人工交配を行い、以後選抜、固定を図ったものである。
2. 出穂期は「きらら397」より3日遅く、「ほしのゆめ」より5日遅い“晩生の中”である。
3. 成熟期は「きらら397」より1日遅く、「ほしのゆめ」より5日遅い“晩生の早”である。
4. 収量は「きらら397」対比98%、「ほしのゆめ」対比105%である。
5. 耐冷性は穂ばらみ期では「きらら397」より強く、「ほしのゆめ」と同じ“強”、開花期では「きらら397」「ほしのゆめ」より強い“極強”である。
6. 食味は「きらら397」に明らかに優り、「ほしのゆめ」並からやや優る。
7. 精白米のタンパク含量は「きらら397」より低く、「ほしのゆめ」よりやや低い。
[成果の活用面・留意点]
 
1. いもち病抵抗性がやや弱いので、発生に注意し適正防除に努める。
2. 倒伏や干ばつにより粒厚が薄くなることがあるので、多肥栽培は避け「施肥水準」を厳守し、登熟期の水管理に留意する。
[具体的データ]
 
[その他]
研究課題名: 極良食味米品種の早期開発
予算区分: 道費
研究期間: 1993〜2002年度
研究担当者: 田中一生、尾崎洋人、越智弘明、品田裕二、沼尾吉則、宗形信也、萩原誠司、
前田博、佐々木忠雄、本間昭、吉村徹、太田早苗、鴻坂扶美子


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