高収量・高品質をめざすながいもの栽培技術


[要約]
十勝地域では、5〜6月が低温な年にマルチによる増収効果が認められる。種イモ重は1個100gでよい。支柱が高いほどイモの肥大は旺盛となる。収穫作業前に行うつる切りは10月25日以降とすることが望ましい。ウィルス病によって最大で50%の減収となる。初期生育時につるが切断されると収量が大きく低下する。
[キーワード]
  ながいも、収量、品質、マルチ、つる切り、支柱、ウィルス病
[担当]十勝農試・作物研究部・てん菜畑作園芸科
[連絡先]電話0155-62-2431、電子メールTokachiAES@agri.pref.hokkaido.jp
[区分]北海道農業・作物
[分類]技術・普及

[背景・ねらい]
マルチの種類と使用時期・種イモ重・支柱の高さ・栽植密度・植え付け方法など、ながいもに関する各種栽培管理法について検討し、栽培技術の向上による高収益安定生産をめざす。
[成果の内容・特徴]
 
1. 十勝地域においては、マルチの効果は5〜6月の平均気温が平年を下回る年に認められる。マルチ の種類による比較ではブラウンホット、ライトグリーンでの増収効果が高い(図1)。
2. 種イモ重が90gの場合ではやや収量が低くなるが、105gと120gではほとんど差がなくなること から、産地の平均である120〜130gの種イモ重を1個100gとすることで種イモ代にかかるコストを 大幅に節約できる(表1)。
3. 支柱を高くすることでイモの肥大は旺盛になり、180cmに対して290cmではイモ重が17%増加する(図2)。
4. 収穫前に行うつる切り時期の違いがイモの乾物率に及ぼす影響は大きい。品質面における低下を防ぐ意味では、つる切り時期は乾物率の増加曲線がほぼ横ばいとなる10月25日以降とすることが望ましい(図3)。
5. やまのいもえそモザイクウィルス罹病株は健全株に対して最大で約50%も減収する。しかし、ウィルスに罹病することによってイモの乾物率や粘度の値は高まる(表2)。
6. マルチによる焼けや強風による折れ、あるいは晩霜害による被害を想定し、ながいもの初期生育時につるの先端を切断除去すると、切断されたつるが長いほど収量は低下し、もっとも低収となった地上5cmまでつるを切除した区では無処理区と比較して収量が24%低下する。
[成果の活用面・留意点]
 
1. 本成績中の試験は現地も含めすべて十勝中部地帯で行っている。
[具体的データ]
 
[その他]
研究課題名: ながいもの高収益安定生産に向けた栽培技術指針
予算区分: 国補(地域基幹)
研究期間: 1997〜2002年度
研究担当者: 西田忠志、高宮泰宏


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