小輪・多収性アジアティック系ゆり新品種候補系統「Li−9」


[要約]
花ゆり「Li−9」はアジアティック系品種「モナ」と小輪の野生種「チョウセンヒメユリ」を交配し、胚培養技術を利用した鮮橙色の小輪性品種である。多芽性を有するため1球あたりの採花本数が多く収量性が高い。球根の増殖効率も良い。
[キーワード]
  ゆり、新品種、胚培養、小輪、多収性
[担当]花野菜セ・研究部・花き科、中央農試・農産工学部・細胞育種科
[連絡先]電話0125-28-2800、電子メールtomomy@agri.pref.hokkaido.jp
[区分]北海道農業・畜産草地
[分類]技術・普及

[背景・ねらい]
北海道における花ゆりの切花栽培は約83haで1000万本生産され、生産額約16億円の主要な切花品目である。しかし「カサブランカ」に代表されるオリエンタル系品種の生産への偏りが著しく、流通側からは近年の嗜好の多様化や家庭消費による新たな需要の増加に対応した多様な生産が求められ、産地からも道外産地との差別化を図れる独自品種の育成が望まれている。これらのことから、胚培養の技術を利用した従来の品種にない小輪でコンパクトな草姿を有する花ゆり品種の育成を行った。
[成果の内容・特徴]
 
1. アジアティック系ゆり品種「モナ」(黄色)と小輪性の野生種「チョウセンヒメユリ」(赤橙色)を交配し、胚培養を利用した小輪タイプのアジアティック系ゆり品種「Li−9」を育成した。
2. 「Li−9」の花径は85〜96mmで花色は鮮橙色、花弁基部に暗灰赤色の微小斑点を有し、香りはほとんどない(表1図1)。
3. 花房の形状は総状(段咲き)で花向きは垂直より約10度のほぼ上向きであり、球周12〜14cmの球根での花蕾数は3.0〜4.6個である(表1図1)。
4. 1個の球根から約4本の花茎が伸長するため、1aあたりの規格内採花本数は、8709〜14959本となり、「モナ」(4221本)や「チョウセンヒメユリ」(2222本)を大幅に上回る。球周10〜12cm球は花蕾数3〜4個の花茎が多く規格外率も高くなるため収量性はやや劣る(表2)。
5. りん片1枚から2.0〜2.5個の子球を形成し「チョウセンヒメユリ」より増殖性が高い。平均一年球重は「チョウセンヒメユリ」よりやや小さいが、養成栽培後の二年球の肥大倍率が高く、平均重・平均球周とも「チョウセンヒメユリ」や主なアジアティック系品種を上回る。分球性が強く、切花栽培用の二年養成球は多芽球となる。切花栽培に実用的な大球の占有率は79.3%である(表3)。
[成果の活用面・留意点]
 
1. 普及対象地域は全道のゆり栽培地域とする。凍結貯蔵球利用5月定植作型での成績であり、長期抑制および促成作型は未検討である。
2. アジアティック系品種としては葉枯病がやや発生しやすいので、発生動向に注意し適切な防除を行う。
[具体的データ]
 
[その他]
研究課題名: 道産ブランド花き品種の育成  1)花ゆりの新品種育成
予算区分: 道費
研究期間: 2001〜2005年
研究担当者: 大宮 知、筒井佐喜雄、生方雅男、布目暁洋、玉掛秀人、菊地治己


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