草地酪農における飼料自給率70%のための放牧飼養法と産乳性


[要約]
放牧時のデンプン質併給飼料は圧片トウモロコシ、泌乳前期濃厚飼料のCP含量は14%(乾物)がよい。放牧時のTDN自給率を70%とする飼料給与メニューにより濃厚飼料給与量1,439kg(乾物)で一乳期換算乳量8,200kg(乳脂肪率3.6%)が得られる。
[キーワード]
  乳牛、放牧、自給率、デンプン質飼料、CP
[担当]根釧農試・研究部・乳牛飼養科、乳質生理科、乳牛繁殖科
[連絡先]電話01537-2-2004、電子メールharasts@agri.pref.hokkaido.jp
[区分]北海道農業・畜産草地
[分類]技術・普及

[背景・ねらい]
草地酪農においてTDN自給率70%を目指した放牧飼養法を確立するために、濃厚飼料の給与量を制限した時の飼料構成、生乳生産性を検討し、飼料自給率70%のための飼料給与メニューを作成する。なお、放牧は濃厚飼料のみを併給飼料とした昼夜放牧とする。
[成果の内容・特徴]
 
1. 圧片トウモロコシ、大麦、粉砕トウモロコシの割合を変えて給与すると、圧片トウモロコシ給与時に比べ、大麦給与により第一胃液pHの低下傾がみられ、放牧草摂取量は減少する(表1)。また、粉砕トウモロコシでは第一胃内の消化性が低いと考えられる。よって、放牧飼養に給与するデンプン質飼料は圧片トウモロコシが適当である。
2. 泌乳前期濃厚飼料のCP含量(乾物中)を9%と14%とした時、CP9%では初回発情日数が長く、初回授精もやや遅れる傾向がみられ、空胎日数も長い傾向がある(表2)。これらの点から、泌乳前期の濃厚飼料のCP含量は14%が適当である。
3. 濃厚飼料を泌乳前期、中期、後期にそれぞれ9.8kg、2.6kg、1.7kg(乾物)給与することにより、牛群全体のTDN自給率は70%に達し、一乳期換算乳量で8,351kgが得られる。群平均の乳脂肪率は3.81%、乳蛋白率は3.31%であり乳成分も良好に維持される(表3)。また、血液性状からみて健康上の問題はみられない。
以上の成績をもとに作成したTDN自給率を70%とする放牧時の飼料給与メニュー(表4)により、濃厚飼料給与量1,439kg(乾物)で一乳期換算乳量8,200kg(乳脂肪率3.6%)が得られる。
[成果の活用面・留意点]
 
1. 飼料自給率向上の推進に活用できる。
2. 適正に維持管理されている放牧草地があることを前提とする。
[具体的データ]
 
[その他]
研究課題名: 草地酪農における飼料自給率70%の放牧技術の開発 III.飼料自給率70%の放牧体系における適正乳量水準の検討
予算区分: 国費補助
研究期間: 1998〜2002年
研究担当者: 原  悟志、糟谷広高、上田和夫、高橋雅信、草刈直仁


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