牧草サイレージの品質と乳牛の採食性からみた春のスラリー散布時期


[要約]
春のスラリー散布は牧草サイレージの品質と乳牛の採食性に悪影響は及ぼさないが、スラリー散布時期が遅れるとサイレージ発酵品質と飼料選択性が低下する危険性が高まり、牧草収量も低下する。したがって、春のスラリー散布は既存の報告(5月中旬まで)を遵守し、できるだけ早期に行うことが望ましい。
[キーワード]
  スラリー、春散布、乳牛、採食性、牧草サイレージ
[担当]根釧農試・研究部・乳牛飼養科
[連絡先]電話01537-2-2004、電子メールnisimiti@agri.pref.hokkaido.jp
[区分]畜産草地
[分類]技術・普及

[背景・ねらい]
根釧地域におけるスラリーの肥料効果からみた施用適期は5月中旬である。しかし、酪農現場では牧草サイレ−ジの採食性が低下するとして春散布を避ける事例が多い。その原因として、原料草へのスラリーの付着による採食性の低下や牧草サイレ−ジ品質の低下が挙げられているが、スラリー散布における原料草への付着量と採食性については明らかにされていない。
そこで、スラリーの春散布がサイレージ原料草へのスラリー付着量、サイレージの品質および乳牛の採食性に及ぼす影響を検討した。
[成果の内容・特徴]
 
1. チモシー主体草地にスラリーを5月中旬、5月下旬、6月上旬に散布し(5中区、5下区、6上区:合わせてスラリー散布区)、5月中旬に化成肥料を施用した場合(化成区)と比較した結果、5月下旬および6月上旬の原料草の収量は5月中旬にスラリーまたは化成肥料を施用した区よりも低い傾向にある(表1)。
2. 5月中旬、5月下旬、6月上旬のスラリー散布は、散布時期にかかわらず、牧草サイレージの品質(V-SCORE)と、乳牛の自由採食量には悪影響を及ぼさない(表23)。
3. スラリー散布時期が遅くなると牧草サイレージのpHやVFA組成などの発酵品質や、乳牛の飼料選択性が低下する傾向がある(表23)。
4. スラリー散布時期が遅くなるほど、牧草のスラリー付着量は有意に多くなるが、牧草のスラリー中の付着量(乾物比)は0.006から0.109%と、堆肥散布時の堆肥混入量4-28%(糞尿の多量施用が牧草品質に及ぼす影響;平成10年度北海道農業試験会議資料)に比べて極めて少ない(表4)。
5. 以上のように、春のスラリー散布は乳牛の採食性には問題ない。なお、スラリーの散布時期は既存の報告(5月中旬まで)を遵守する。
[成果の活用面・留意点]
 
1. 春期のスラリー散布の促進に活用できる。
2. 本成果は、施肥標準を遵守したスラリー散布量で検討したものである。また、スラリー散布で不足する施肥養分は化成肥料(適期施用)で補った。
[具体的データ]
 
[その他]
研究課題名: 牧草サイレージの品質と乳牛の採食性からみた春のスラリー散布時期
予算区分: 道費
研究期間: 2002年度
研究担当者: 西道由紀子、原悟志、前田善夫


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