マキバカスミカメの生態と小豆における防除対策


[要約]
小豆子実に吸汁被害粒を発生させるマキバカスミカメは、北海道東部では年2回発生し、第2世代幼虫と成虫が加害する。有効な登録薬剤はMPP乳剤とMEP乳剤(各1000倍)で、1回の散布で効果がある。積算気温が500日度に達した日の翌日が散布適期である。
[キーワード]
  小豆、マキバカスミカメ、生態、有効薬剤、防除時期
[担当]北見農試・生産研究部・病虫科、十勝農試・生産研究部・病虫科
[連絡先]電話0157-57-2146、電子メールfurukakh@agri.pref.hokkaido.jp
[区分]北海道農業・生産環境
[分類]技術・普及

[背景・ねらい]
マキバカスミカメは様々な作物を加害することが知られるが、試験・調査例はなく生態、有効薬剤等については不明である。本種は小豆子実に吸汁被害粒を生じさせることから、その生態を明らかにするとともに、有効薬剤の探索を行い、防除回数、防除時期を明らかにする。
[成果の内容・特徴]
 
1. マキバカスミカメによる小豆吸汁被害(図1)は、1998年に実施した発生状況調査では網走・十勝支庁管内のほぼ半数のほ場で認められ、また北海道南部の檜山支庁厚沢部町でも被害発生の報告がある。本種は北海道内に広く分布しているため、道内全ての小豆栽培地帯では多少とも被害が発生しているものと考えられる。
2. ほ場でのすくい取りによる発生消長調査(図2)、室内飼育試験により得られた発育零点(8.6℃)と一世代経過に必要な有効積算温度(465.1日度)および約15時間以下の日長で発育した場合は産卵しないことから、本種は成虫で越冬し、北海道東部では年2回発生することが確認された。小豆の生育期との一致から、第2世代幼虫と成虫が小豆を加害する。
3. 本種は多種類の植物を寄主とし、様々な作物・植生間を移動しながら増殖する。そのため、単独の調査場所で発生の全容を捕らえることは困難である。
4. 成虫・幼虫の放飼試験により、収穫した子実に発生する吸汁被害粒の他、莢の脱落・しいなの発生が認められた。これらから、検査等級の下落以外に、収量にも影響すると考えられる。
5. 室内での殺虫試験およびほ場での薬剤防除試験から、小豆のカメムシ類に農薬登録を有する有機リン系のMPP乳剤、MEP乳剤の効果が高いことが明らかとなった。
6. 適期の薬剤散布1回で、収穫時の吸汁被害粒率を無処理比20以下に低減できる(表1)。
7. 薬剤散布時期と吸汁被害粒率の関係から、薬剤散布適期は積算温度(開花始日からの毎日の平均気温の積算)が515〜520日度の時期である(表2)。北海道では8月中の平均気温は20℃前後であることから、散布を予定する前日に積算気温がおよそ500日度に達しているならば、その翌日は薬剤散布適期である。
[成果の活用面・留意点]
 
1. 小豆子実に吸汁被害粒を発生させるマキバカスミカメ防除に活用できる。
[具体的データ]
 
[その他]
研究課題名: 小豆子実を加害するマキバカスミカメの発生生態と防除対策
予算区分: 道費(豆基)
研究期間: 1998〜2002年度
研究担当者: 岩崎暁生、古川勝弘、小野寺鶴将
発表論文等: 1)岩崎暁生(1998)北日本病虫研報 49: 146-149.
2)岩崎暁生(2000)北日本病虫研報 51: 190-193.
3)岩崎暁生(2001)北日本病虫研報 52: 185-186.


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