1. |
道内での本種の発生は散発的で露地での越冬はみられない。そのため、発生原因は、(a)本種が寄生した苗の購入・栽培、(b)寄生した花き類鉢物等をハウスに持ち込み、作物で増殖、(c)前年発生したハウスで冬期間ビニールを除去しなかったため虫が越冬、という人為的な3つの類型に分けらる。 |
2. |
被害は、食害により葉の白〜褐色斑やシルバリング(トマト、きゅうり、なす、きく等)、果こう部の褐色のカスリ症状(ピーマン、なす)、花弁・花器の食害痕(花き類、いちご)、果実表面の褐変(いちご)、産卵によるトマトの白ぶくれ症状、なすの着色不良斑を発生させる。寄生部位は、下位葉と花で多いのは、トマト、なす、きく等で、花で多いのは、ピーマン、いちごである。 |
3. |
発生ハウス内での青色粘着板調査では、春(5-6月)と秋(8中旬-10月)に捕獲数が多いが(図1)、適温で植物(特に花)があればいつでも増加する。ビニールを張った無加温ハウス内で越冬する。低温馴化した暗色型雌成虫の耐寒性は強く、-5℃での100%致死時間は28日間以上、-10℃でも6-7日間以上である。 |
4. |
防除法として、(a)表1に示した作物で、スピノサド剤、クロルフェナピル剤、エマメクチン安息香酸塩剤等の茎葉散布剤が効果が高い。(b)ククメリスカブリダニの放飼(100頭/株の3〜6回放飼)で密度低減効果が認められる。(c)ハウス内の耕起処理は密度の低減がみられる。(d)冬期間にハウスのビニールを除去する方法(表2)が越冬を阻止する確実な方法である。また、道央以北の内陸部では、厳寒期に側窓を一定期間(-10℃以下、168時間以上)開放する方法も有効である。 |