1. |
美瑛町美沢の暗きょ管は、施工後1年以内に閉塞する(図1)。この閉塞物質は、鉄とイオウ含量が高い非晶質物質で(表1)、繊維状に集合したGallionella属の鉄酸化細菌の代謝物(鉄バクテリア膜)である。 |
2. |
暗きょ管が短期間で閉塞する過程は図2に示すように、(1)泥流由来の酸性硫酸塩土壌中の硫化鉄が酸化され硫酸と鉄が下層に移動し、(2)客土と水田利用による強還元で泥炭層に硫化鉄類の集積が進む。(3)畑転換と暗きょ施工で集積していた硫化鉄類が酸化され、硫酸と鉄が暗きょ管に流入し、(4)鉄酸化細菌の働きによって鉄バクテリア膜として沈積する(図2)。 |
3. |
美瑛町美沢の全域を対象に土壌の硫酸イオン含有量と泥炭の存在の調査を行い、「硫酸イオン含有量が0.2%以上の条件下で泥炭が存在」の閉塞危険域と「硫酸イオン含有量が0.2%以上の条件下で泥炭が未確認」の準危険域に区分することにより、暗きょ管閉塞発生を予測することができる(図3)。 |
4. |
チップを疎水材に使用する従来暗きょでは施工後6ヶ月でも鉄バクテリア膜が形成され暗きょ管の32%が閉塞している。これに対して、疎水材にロックウールを使用すると(図4)、排水のpHが高まり鉄酸化細菌の繁殖を抑制するため、全く鉄バクテリア膜が形成されない(表2)。 |