施設栽培におけるたい肥連用効果と窒素・リン酸減肥基準


[要約]
施設栽培ではたい肥連用に伴い土壌熱水抽出窒素と有効態リン酸が高まる。周辺環境への負荷を回避するためのたい肥連用量は年間4t/10aが適当である。連用条件下での施肥窒素は,たい肥1t/10aにつき連用5年未満で基肥・分追肥を各1kg/10a,連用5年以上で基肥1kg/10a+分追肥2kg/10a減肥できる。また,リン酸施肥はたい肥1t/10a施用につき1kg/10a減肥する。
[キーワード]
  施設栽培、たい肥、窒素、リン酸
[担当]道南農試・研究部・園芸環境科
[連絡先]電話0138-77-8116、電子メールhayashit@agri.pref.hokkaido.jp
[区分]北海道農業・生産環境
[分類]技術・普及

[背景・ねらい]
北海道の施設栽培では,たい肥施用に伴って減肥する上で,連用時の評価は充分に検討されていない。そこで,牛糞尿由来たい肥について,連用による土壌理化学性の変化と養分評価を行い,環境負荷を低減させ生産を持続するための施用基準を策定する。
[成果の内容・特徴]
 
1. 道南地域の施設栽培では様々な種類のたい肥が用いられ,中でも牛糞尿由来たい肥の使用が70%程度を占め,たい肥1t当たりに含まれる窒素は3.8〜4.8kg/10aである。
2. 土壌の熱水抽出性窒素はたい肥1t/10a施用につき0.1mg/100g程度増加し(図1),熱水抽出性窒素が8mg/100g以上の土壌ではたい肥の施肥効果は認められない。
3. たい肥連用による土壌物理性の改善効果はたい肥4t/10aで認められ,8t/10aとの効果の違いは小さい(表2図1)。また,たい肥8t/10aの投入(窒素で35kg/10a)はトマト1作による窒素持ち出し量23〜25kg/10aより明らかに多く,周辺環境への負荷回避を考慮すると,連用量は4t/10aが適当である。
4. トマト栽培試験より,たい肥4t/10a連用につき基肥窒素を5kg/10a程度,追肥窒素を連用4年目までは5kg/10a,5年目以降は10kg/10a程度減肥することができる(表1)。
5. たい肥1t/10a連用により有効態リン酸が0.5〜1.0mg/100g高まることから(図1),リン酸施肥対応は,連用条件下でたい肥1t/10a施用につき1kg/10a減肥する。ただし黒ボク土は除外する。
[成果の活用面・留意点]
 
1. 本成績はたい肥を連用した施設栽培における窒素およびリン酸の減肥に活用する。
2. 本成績は完熟牛糞尿由来たい肥を各年の春に連用したトマト栽培試験に基づく。
[具体的データ]
 
[その他]
研究課題名: 周年利用型ハウスにおける施用有機物の養分評価と施用基準設定
予算区分: 国費(補助)
研究期間: 1998〜2002年度
研究担当者: 林 哲央,中住 晴彦,日笠 裕治
発表論文等: 林・日笠(1999)土肥学会講要集 45:332


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