鉱質重粘土における草地更新時の適正たい肥施用量


[要約]
草地更新時のたい肥施用量は、環境面、牧草品質に対して10t/10a程度が上限であるが、マメ科率維持にはそれより下方の5〜7.5t/10aが適当である。ただし、北海道施肥標準におけるN6kg/10a(マメ科率15%以上の場合)の施用量を考慮して、減肥対応が可能な6t/10aを上限量とする。
[キーワード]
  たい肥、草地更新、マメ科率、環境、牧草品質
[担当]天北農試・研究部・草地環境科
[連絡先]電話01634-2-2111、電子メールohtsukas@agri.pref.hokkaido.jp
[区分]北海道農業・生産環境
[分類]技術・普及

[背景・ねらい]
鉱質土(台地土)における草地更新時のたい肥施用量を、従来の収量やマメ科率に、環境面、牧草品質など新しい観点を加え多面的に評価した。また、下層土の物理性改善を併せねらい、たい肥の混和を通常反転耕起の30cm深より深い60cmまで行った条件での数値についても検討した。
[成果の内容・特徴]
 
1. 30cmの混和深では、オ−チャ−ドグラス(OG)収量はたい肥施用により高まる。一方、シロクロ−バ(WC)収量はたい肥7.5t/10aまでは高まるが、それ以上の施用量では一定ないし減少する傾向を示す(図1)。
2. 更新2年目のたい肥N利用率は6〜16%の範囲で5〜7.5t区が高く、たい肥由来N吸 収量は10t区で頭打ちとなり(図2)、それ以上の施用は土壌残存Nの増加が危惧される。
3. 牧草のK/(Ca+Mg)当量比からたい肥15t/10a以上で品質(ミネラルバランス)低下の要因となることが危惧される。
4. 60cmの混和深では、たい肥施用による増収効果は更新7年目でも持続する。N吸収量の増加も収量と同様に持続するが(図3)、たい肥由来N利用率は2〜6%で30cm混和より低い。
5. 粗孔隙など土壌物理性は、心土破砕、暗渠の施工を含む60cm深までの下層混和により改善されるが(図4)、たい肥施用の影響は明瞭でない。
6. N収支から、30cm混和では降水量から蒸発散量を差し引いた余剰水(浸透水)中推定無機態N濃度が、15t、20t区で10mg/Lを超える危険があり(表1)、実測した硝酸態N濃度も15、20t区で高まる(表2)。60cm深混和でも余剰水中推定N濃度は20t/10a以上で高く、実測した硝酸態N濃度も40、80t区で高まる。
以上、鉱質土においては、混和深に関わらず環境面からみて10t/10a程度を施用上限とすることが妥当であり、マメ科収量維持には30cm土層内で5〜7.5t/10aが適当である。なお、この場合北海道施肥標準におけるN6kg/10a(マメ科率15%以上の場合)の施用量を考慮して、減肥対応が可能な6t/10a程度を更新時たい肥施用の上限量とする。
[成果の活用面・留意点]
 
1. 本試験は鉱質土のオーチャードグラス、チモシーの採草地に適用する。
2. 供試したたい肥は平均的な肥料成分のものである。
[具体的データ]
 
[その他]
研究課題名: たい肥等有機物・化学肥料適正使用指針策定調査(土壌機能増進対策事業)
2.施用基準等設定栽培試験、草地更新時における有機物施用限界量
予算区分: 補助(土壌保全)
研究期間: 1998〜2002年度
研究担当者: 大塚省吾、奥村正敏、木曽誠二、中辻敏朗、松中照夫
発表論文等: 1)Nakatsuji et al.(1997)International Workshop on Envitronmentally Friendly Management of Farm Animal Waste:72-73
2)中辻ら(1998)日本土壌肥料学会講要44:263
3)大塚ら(2001、2002)日本土壌肥料学会講要47:282、48:201


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