1. |
9農場における分娩前の給与粗飼料成分と3産目以降の起立不能症発症率について調査したところ、推定DCAD({[Na+]+[K+]}−{[Cl-]+[S2-]})が高い粗飼料、特に+250mEq/乾物kg以上の粗飼料を給与している農場で発症率が高い傾向にある(図1)。 |
2. |
陰イオン塩製剤(Cl:8.7%含有、DCAD:-2980mEq/乾物kg)の添加量を決めるために、製剤を混合飼料に乾物中3%、6%添加(試験I)および4.5%添加(試験II)して乳牛に給与した。製剤の3%添加では効果が期待できず、6%添加では飼料摂取量が低下することから、いずれも添加量として適切ではない(表1)。製剤の4.5%添加では血液pHの低下(表2)および尿へのCa排泄増加(図2)から効果が期待され、飼料摂取量への影響もないこと(表2)から、4.5%が添加量として適切と考えられる。 |
3. |
経産乳牛に対して分娩前2週間、陰イオン塩製剤を乾物中4.5%添加した混合飼料を給与することによって、低Ca血症(血清Ca濃度が7.5mg/dl以下)を示す頭数は低減し(表3)、陰イオン塩給与による低Ca血症の予防効果が期待できる。 |
4. |
分娩前の経産乳牛をアルファルファ主体で飼養したところ、4頭中2頭が血清Ca濃度6.0mg/dl以下の重度の低Ca血症を発症し、うち1頭は起立不能を示したが、陰イオン塩製剤を乾物中4.5%添加することで、重度の低Ca血症の発症は抑えられる(表4)。 |
5. |
十勝管内の大規模農場において、チモシー主体飼料で飼養している乾乳後期の経産乳牛に対して、陰イオン塩製剤を乾物中約4%添加したところ、起立不能症発症頭数は減少する傾向にあった(表5)。 |