1. |
刈取時の草丈30cm、刈高10cmの多回刈り条件では、草量確保と季節生産性の平準化を両立させる観点からは、TY・シロクローバ(以下WC)混播草地、TY単播草地ともに従来の5月上旬・6月下旬・8月下旬の年3回均等分施が望ましい。施肥回数を年2回に低減すると、早春に養分供給のある処理は季節変動が増大し、ない処理は乾物生産性が低下する。これらの傾向は、年1回施肥によりさらに著しくなる。TY単播草地における施肥回数の低減は、乾物生産性の季節変動を著しく高める(図1)。 |
2. |
搾乳牛を放牧した放牧草地においても、施肥回数の低減は放牧草の現存草量とその季節変動をともに高める(図2)。また、放牧草の利用量は、施肥回数によらずほぼ一定のため、放牧草の利用率は、施肥回数の低減により明らかに低くなる(図3)。 |
3. |
ただし、 TY・WC混播放牧草地の場合、5月上旬・7月下旬または6月下旬・8月下旬の年2回均等分施にすれば、前者は通年、後者は5・6月に大面積を要するものの7月以降の必要面積・牧区数を年3回均等分施とほぼ同等にすることができる(表1)。 |
4. |
以上の結果、TYを基幹とする集約放牧草地(ホルスタイン搾乳牛の年間入牧頭数370〜430頭・日/ha)の施肥は、5月上旬・6月下旬・8月下旬の年3回均等分施が望ましいが、TY・WC混播放牧草地では季節生産性の低下をきめ細かい牧区計画で緩和すると5月上旬・7月下旬、乾物生産性の低下を面積拡大で補うと6月下旬・8月下旬の年2回均等分施に省力化できる。 |