各種酵素剤処理による馬鈴薯の加工素材化


[要約]
馬鈴薯を剥皮し加熱した後、圧潰し、酵素剤で処理して成分を部分的に分解・変換し、成分や物性を変化させることで健康食品への利用が期待される。
[キーワード]
  馬鈴薯、加工、酵素
[担当]食加研・加工食品部・農産食品科
[連絡先]電話011-387-4120、電子メールmaki@foodhokkaido.gr.jp
[区分]北海道農業・流通利用
[分類]技術・参考

[背景・ねらい]
本道で生産される馬鈴薯加工品の種類は冷凍品、フライ加工品、乾燥品等に限られ、輸入量の増加等により生産も停滞している。近年、食に対するニーズの多様化や健康への関心の高まりから、加工品の高付加価値化や新たな加工品の開発が望まれている。本道の馬鈴薯加工品は、これまで栄養価や食味など原料由来の品質の良さを売り物にしてきたが健康機能に着目した加工品開発は行われていない。そこで時代の要求に対応できる新たな加工技術を開発し、健康機能の高い新規加工品の開発につなげる。
[成果の内容・特徴]
 
1. 加熱し、圧潰した馬鈴薯を適当な蛋白質分解酵素剤で処理すると粘度が低下する(図1)。
2. 同様な処理により抗酸化性とアンギオテンシンI変換酵素(ACE)阻害活性(いずれも試験管レベル)が増大する(図2図3)。
3. 上記の酵素剤に適当な糖質転移酵素剤を併用すると、ビフィズス菌増殖効果等を有する分岐オリゴ糖が生成する(図4)。
[成果の活用面・留意点]
 
1. 本加工素材は、スープ・ドリンク等の液状食品、コロッケ、サラダ等の調理食品や菓子原料など多様な加工品の製造に活用できる。平成14年度、農林水産省が所管する地域産学官連携技術開発事業で本加工素材を活用した新食品(ジャム様食品、ドリンク様食品)の商品化研究に取り組んでいる。
2. 本技術の導入には特別な設備投資を必要としないため、既存の馬鈴薯加工業者への技術移転のほか、新事業の創造にも活用可能で成果の活用範囲は広い。
3. 酵素剤処理による物性および機能性変化の度合いは原料馬鈴薯の品質により変動する。
[具体的データ]
 
[その他]
研究課題名: 馬鈴薯の加工利用に関する新技術の開発
予算区分: 道単
研究期間: 2000〜2001年度
研究担当者: 槇賢治、岩下敦子、山木一史、中野敦博
発表論文等: 槇賢治ほか1名「ポテトペーストの製法」特願2002−217301(2002年6月21日)


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