やまのいも育種技術の改善


[要約]
やまのいもの交雑育種において、交配後30日から40日間果培養を行い、種子培養を省略することにより、交雑実生獲得までの期間を短縮できる。
[キーワード]
  やまのいも、交雑育種、種子培養、果培養、交雑実生
[担当]十勝農試・作物研究部・てん菜畑作園芸科
[連絡先]電話0155-62-2431、電子メールtorikosi@agri.pref.hokkaido.jp
[区分]北海道農業・作物
[分類]科学・参考

[背景・ねらい]
やまのいも類の交雑育種において、これまで未熟な胚の生育を促すために、交配後に果培養、種子培養、胚培養と3段階の培養を行っており、煩雑な作業と長い培養期間を要する。そこで労力の軽減と培養期間の短縮を目指し、交雑実生獲得のための効率的な育種技術を確立するために、交配および培養方法を検討した。
[成果の内容・特徴]
 
1. 交配後の培養処理の効果は、その後の胚の生育から種子培養を省略し、果培養のみで十分である(図1)。
2. 果培養を開始する時期はその後の胚の生育から交配後30日程度が良い(図2)。
3. 果培養期間は胚の形状や大きさから40日以上で、果および種子が褐変した時期に胚を摘出することが良い(図3)。
4. 種子培養を省略することによって、交配からポット栽培までの期間を現行より50日間短縮できる(図4)。ビニールハウスでポット栽培を行う場合は6月上旬までに幼苗を馴化・定植することにより翌年に圃場栽培出来うる種いもが得られる。
5. いちょういもとながいもの交配において、交配前1週間の気温は最高気温が34℃程度あれば最低気温が18℃程度であっても、十分に種子を獲得できる(表1)。
[成果の活用面・留意点]
 
本試験は雌株にいちょういも、雄株にながいもを用いた交雑に関する試験であり、他のやまのいも類では未検討である。
[具体的データ]
 
[その他]
研究課題名: やまのいも育種技術の確立と育種素材の開発
予算区分: 共同研究
研究期間: 2000〜2002年度
研究担当者: 鳥越昌隆・西田忠志・高宮泰宏・黒崎友紀・入谷正樹


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