イネ穂ばらみ期耐冷性遺伝子座の特定と塩基配列情報に基づく高精度DNAマーカー


[要約] [キーワード] [担当]北海道農研・地域基盤研究部・育種工学研究室
[連絡先]電話011-857-9478
[区分]北海道農業・基盤研究、作物・生物工学
[分類]科学・普及



[背景・ねらい] [成果の活用面・留意点]
  1. 「中母農8」の第4染色体長腕には2つの耐冷性遺伝子Ctb1Ctb2が隣り合って存在する。Ctb1の両側にはDNAマーカーOSR15とSCAB11が、Ctb2の両側にはDNAマーカーSCAM20とRM317が存在し、各耐冷性遺伝子の育種選抜に利用できる。(図1A)。
  2. DNAマーカーによる選抜と戻し交配によって育成したCtb1を持つ系統(BT4-70-1)およびCtb2を持つ系統(BT4-76-2)は、Ctb1Ctb2の両方を持たない系統(BT4-74-8、BT4-9-7)に比べて人工的な冷害条件下での稔実率が15%以上高い(図1B)。
  3. Ctb1周辺のゲノムDNAに関する塩基配列情報を用いて作成した高精度DNAマーカーBAC1、BAC22、BAC9、PNK2、BAC29、BAC28を利用することにより、Ctb1周辺の「Silewah」に由来する耐冷性以外の遺伝子を極力除去することができる(図2)。
  4. DNAマーカーによる選抜と戻し交配によって育成した準同質遺伝子系統の耐冷性の比較からCtb1はBAC1とBAC22の間に存在する。両マーカー間のゲノムDNAの長さは約56kbである。
[成果の活用面と留意点]
  1. 本研究のDNAマーカーは「中母農8」および「Silewah」を用いた耐冷性の育種に活用できる。
  2. RM317はTemnykhら(Theor.Appl.Genet.100:697-712)により、また、OSR15はAkagiら(Theor.Appl.Genet.93:1071-1077)によって開発されたマーカーである。
  3. その他のマーカーを利用するために必要な情報は公開であり、問い合わせにより利用できる。
[具体的データ] [その他]
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