ジベレリン処理種なしぶどう「デラウェア」、「バッファロー」の垣根栽培新方式
[要約]
生食用ぶどうの垣根栽培は早期成園化が図られる。栽植4年目までの10a当たり累積収量は棚栽培の約3倍。収量当たりの作業時間は短い。負担が大きい「上向き・腕上げ」姿勢は棚栽培より大幅に少なく、作業姿勢改善効果がある。
[キーワード]
[担当]中央農試・作物開発部・果樹科
[連絡先]電話0123-89-2285
[区分]北海道農業・作物
[分類]技術・参考
[背景・ねらい]
我が国の生食用ぶどうの一般的な栽培方式である棚栽培は、長時間顔を上に向け、腕が肩より上がる姿勢を余儀なくされ、首、肩、腰への負担が大きい(図1)。そのため他府県では作業姿勢改善、早期成園化を目的とした垣根栽培や改良棚といった試験例があるが、本道とは品種や気象条件等が異なるため実用的ではない。そこで、府県の方式を参考にして現在の棚や支柱を有効利用でき、本道の気候(冬季の積雪、低温)や栽培品種に適応すると考えられる生食用ぶどう垣根栽培方式(図2)を考案し、その栽培性、作業性の検討を行う。
[成果の活用面・留意点]
- 生育相は開花期まで差はないが、垣根栽培の果実の酸度が高いことから、収穫期はやや遅くなると考えられる。垣根栽培は初期から枝数を確保でき、栽植3年目には成園化する。そのため栽植4年目までの10a当たりの累積収量は棚の約3倍であり、早期成園効果が見られる。果実品質では垣根栽培の方が果房、果粒が大きい(表1)。
- 垣根栽培は成園化するのが早いため1樹当たりの作業時間は長いが(表2)、収量当たりの作業時間を比較すると2割程度短い(表3)。「誘引」は垣根栽培の方が長いが、「枝上げ」「剪定」は樹が小さく、剪定方法も単純なため短い。
- 「上向き・腕上げ」の姿勢になる時間は棚栽培では作業時間の64%なのに対し、垣根栽培では12%と大幅に短く、作業姿勢の改善効果が見られる(表4)。
- 本試験で検討した垣根栽培は作業姿勢の改善効果が大きく、作業が快適に行える。既存の棚や支柱を利用して新たに架線を設置するだけで良いことから導入コストは低く抑えられる。また、栽培技術が棚栽培と比べて単純で、しかも早期成園化するといったメリットがあるため、高齢者の軽労化のための利用や、既存産地以外の新規導入での利用などが考えられる。
[成果の活用面・留意点]
- 生食用ぶどう栽培の早期成園化および作業姿勢を改善するための方法として利用する
- 樹齢6年生(栽植4年目)までの「デラウェア」「バッファロー」での結果である。
平成16年度北海道農業試験会議(成績会議)における課題名および区分
「生食用「種なしぶどう」の垣根栽培」(指導参考)
[具体的データ]
[その他]
研究課題名:「種なしぶどう」の品種選定と高品質果実生産技術の確立
(2)作業姿勢改善のための新栽培方法の検討
予算区分:道費
研究期間:2000〜2004年度
研究担当者:内田哲嗣
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