収量性、褐斑病抵抗性に優れるスムーズブロムグラス新品種「北見7号」
[要約]
スムーズブロムグラス中生品種「北見7号」は、「アイカップ」と比較して収量性、褐斑病抵抗性に優れる品種である。北海道の旱ばつ害を受けやすい草地における採草利用に適する。
[キーワード]
飼料作物育種、イネ科牧草、スムーズブロムグラス、収量性、褐斑病抵抗性
[担当]道立北見農試・作物研究部・牧草科
[連絡先]電話0157-47-2633
[区分]北海道農業・作物、畜産草地
[分類]技術・普及
[背景・ねらい]
スムーズブロムグラスは地下茎を持ち、深根性で根群は広く豊富で極めて耐旱性に優れる特色がある。また海外ではチモシーが安定的に越冬できない寒冷少雪地帯で広く栽培されるなど、耐寒性に優れる特徴も併せ持つ。現在国内における需要量は少ないが、オホーツク海沿岸地帯の砂丘地や網走・十勝地方内陸部などを中心に、北海道内各地の旱ばつ害を受けやすい地域の草地では、同地域で最も普及しているチモシーより生産性が高いため、旱ばつ被害軽減草種として今後栽培面積を拡大させる必要がある。国内で初の品種として昭和61年に「アイカップ」が育成されたが、収量性やスムーズブロムグラスの最重要病害である褐斑病に対する抵抗性については、さらなる向上が必要と考えられた。そこでこれらの形質を改良した新品種を育成し、道内の旱ばつ害を受けやすい地域の草地への普及を図ることにより、良質自給粗飼料の安定生産に貢献する。
[成果の活用面・留意点]
- 出穂始が「アイカップ」と同じ6月5日で、1番草の出穂程度も「アイカップ」並であることから、早晩性は「アイカップ」と同じ中生である(表2)。
- 2年目、3年目の年間合計乾物収量が「アイカップ」より多いため、収量性は「アイカップ」より優れる(表1)。
- 褐斑病に対しては「アイカップ」に比べ低い罹病程度を示すため、褐斑病抵抗性は「アイカップ」より強い(表2)。
- 越冬性は「アイカップ」より優れる。耐寒性は「アイカップ」と同じ"中"である(表2)。
- 混播適性、飼料成分および採種性は「アイカップ」並である(表2)。
- 形態的特性について「アイカップ」と比較すると、葉長、穂長が長い(表2)。
[成果の活用面・留意点]
- 適応地域は北海道全域とし、「アイカップ」に置き換える。
- 普及見込み面積は、「アイカップ」の置き換えと、北海道各地の旱ばつ害を受けやすい地域にある草地への普及拡大で約4,000haである。
[具体的データ]
[その他]研究課題名:スムーズブロムグラス新品種育成試験
予算区分:指定試験
研究期間:1986〜2004年度
研究担当者:吉澤 晃、下小路英男、古谷政道、佐藤公一、玉置宏之、足利和紀、藤井弘毅、鳥越昌隆、中住晴彦、川村公一
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