乳牛の預託集団哺育における飼養管理の実態と早期離乳法
[要約]
自動哺乳装置を用いる預託集団哺育では管理者の試行錯誤によって哺乳プログラム(哺乳期間、哺乳量)を組み立てており、30日齢以下の離乳も認められる。早すぎる離乳は発育抑制の可能性があるため、現時点の早期離乳法として離乳を42日齢とし、哺乳量は4L/日とする。
[キーワード]乳用牛、子牛、集団哺育、哺乳、群、早期離乳、人工乳摂取量
[担当]根釧農試・研究部・乳牛飼養科、道立畜試・畜産工学部・感染予防科
[連絡先]電話01537-2-2004
[区分]北海道農業・畜産草地
[分類]技術・参考
[背景・ねらい]
自動哺乳装置を用いた乳牛の預託集団哺育が普及しつつあるが、各牧場で飼養管理プログラムを策定する上で参考となる情報は少ない。生後60日間哺乳する集団哺育プログラム(道立畜試、平成13年度)はあるが、集団哺育施設の利用効率を考慮した場合、離乳はより早い方が良い。そこで本研究では、預託集団哺育牧場における飼養管理の実態を調査し、集団哺育において早期離乳(42日齢離乳:哺乳量4L/日、21日齢離乳:哺乳量4L/日、6L/日、8L/日)が子牛の人工乳摂取量および発育に及ぼす影響について検討する。
[成果の内容・特徴]
- 預託集団哺育牧場における飼養管理の実態は、最低離乳日齢が26〜61日齢、最大哺乳量が4〜8L/日の範囲にある(表1)。集団哺育では離乳の目安となる人工乳摂取量に基づいた適正な哺乳期間や哺乳量が明らかでないため、各牧場では管理者の個々の経験に基づき、試行錯誤しながら哺乳プログラム(哺乳期間、哺乳量)を組み立てている。
- 42日齢離乳区では、離乳前に供試牛全頭が離乳の目安となる量の人工乳を摂取しており(表2)、発育はホルスタイン登録協会の標準発育値(1995)並みで良好である(表3)。
- 21日齢離乳区では、ほとんどの個体が離乳後に離乳の目安となる量の人工乳を摂取しており(表2)、発育は42日齢離乳区に劣る(表3)。
- したがって、現時点においては、集団哺育の早期離乳法として離乳日齢は42日齢とし、哺乳量は4L/日(表4)とすることが望ましい。これにより従来の哺育プログラム(道立畜試、平成13年度)の生後60日間哺乳を大幅に短縮できる。
[研究の活用面・留意点]
- 集団哺育における早期離乳法は預託集団哺育および自家育成の乳用雌子牛に適用できる。
平成16年度農業試験会議(成績会議)における課題名および区分
「乳牛の預託集団哺育における飼養管理の実態と早期離乳法」(指導参考)
[具体的データ]
[その他]
研究課題名:子牛の哺育育成部門専門分化による初産分娩までの育成期間短縮をめざした地域預託システムの確立イ.育成期間短縮をはかる集団哺育育成技術の高度化 (ア)自動哺乳装置を用いた子牛の集団哺育育成技術の開発
予算区分:国費補助(地域基幹)
研究期間:2002〜2004年度
研究担当者:上田和夫、仙名和浩、平井綱雄
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