アクリルアミド生成を抑制するポテトチップ製造法
[要約]
ポテトチップ製造時に、スライス片の水洗工程を改善することで、アクリルアミド生成を抑制することができる。また、減圧フライヤーを利用することで、アクリルアミド生成が激減できる。
[キーワード]
[担当]道立食加研・応用技術部・プロセス開発科
[連絡先]電話011-387-4126
[区分]北海道農業・流通利用
[分類]技術・普及
[背景・ねらい]
ばれいしょなど炭水化物を多く含む食材を高温加熱して加工した食品に、発がん性の可能性があるアクリルアミドが生成されることが最近報告されている。食品に含まれるアクリルアミドの人体に対する影響は結論づけられていないが、国内最大のばれいしょ産地である北海道の農業および関連製造業への影響が懸念されている。このことから、より安心なばれいしょ加工品を提供するために、アクリルアミド生成を抑制するポテトチップ製造法の検討を行った。
[成果の活用面・留意点]
- ポテトチップ製造工程で、スライス片の水洗温度を65℃以上に上げると、アクリルアミド生成が抑制される(図1)。水洗液のpHをクエン酸緩衝液で調整した場合(水洗温度20℃)、現行の一般的なポテトチップ製造ラインに近い水洗時間100秒ではpHを低下させても抑制効果を期待できないが、水洗時間600秒では、pH低下とともにアクリルアミド生成が抑制される傾向にある(図2)。
- 水洗液のpHを低下させると同時に水洗温度を上げると(水洗時間100秒)、60℃以下では水洗液pHを低下させてもアクリルアミド生成は抑制されないが、70℃に上げると、pHの低下に伴ってアクリルアミドは低減化する(図3)。図3で示した処理(水洗温度70℃で低pH)がポテトチップの酸味に及ぼす影響を食味試験で調査したところ、pH4.0および4.5の水洗処理では「かすかな酸味」が生じ、pH3.5では「酸味を強く感じる」結果である(表1)。
- フライ工程で真空フライヤーを利用すると、120℃以下でアクリルアミド生成を顕著に低下させることが可能である。過熱水蒸気装置を用いたノンフライ法の製造では、加熱温度を低下させることでアクリルアミド生成を抑制可能である(図3)。
- 以上から、スライス片の水洗温度を65℃以上、水洗液pHを4.5以下(ただし水洗温 度70℃以上)、減圧フライヤーを用いてフライ温度を120℃以下にすることで、ポテトチップ中のアクリルアミドは抑制できる。
[成果の活用面・留意点]
- ポテトチップ製造において、アクリルアミド生成の抑制法として活用できる。
[具体的データ]
[その他]研究課題名:アクリルアミド生成を抑制するばれいしょ加工法の開発
課題ID:04-06-01-*-01-04
予算区分:食品総合
研究期間:2003〜2004年度
研究担当者:中野敦博、清水英樹、田中常雄
発表論文等:中野ら,日本栄養・食糧学会北海道支部会(第34回)講演要旨集,p8,2004.
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