マイクロチューバーによる種馬鈴しょ栽培体系
[要約]
マイクロチューバーによる種馬鈴しょ栽培において、直播栽培では0.5g以上のサイズが、紙筒移植栽培では0.1〜0.5gの小さなサイズが利用できる。密植栽培で枯凋期が早まり、種いも規格収量、種いも個数とも増加する。総合播種機、野菜用移植機が利用できる。
[キーワード]
ジャガイモ、マイクロチューバー、種馬鈴しょ、栽培体系、直播、紙筒移植
[担当]十勝農試・生産研究部・栽培システム科
[連絡先]電話0155-62-9809
[区分]北海道農業・総合研究
[分類]技術・参考
[背景・ねらい]
種馬鈴しょ生産にマイクロチューバー(MT)を利用するために、MTの栽培特性を明らかにし、栽植密度等の試験により、MT直播栽培法、紙筒移植栽培法の検討や機械化栽培体系の検討を行う。
[成果の内容・特徴]
- MT直播栽培法
催芽(芽出し)処理、密植栽培(株間15p)で枯凋期が早まる。密植栽培で増収し、特に浅植(深さ2p)を併用した処理区では、0.5〜1.0gの中サイズMTの場合で、いも数が増加し、平均一個重は小さくなるが、種いも規格収量(全粒、半切りで使用できる20〜120g)は普通種いも比106〜139%、種いも個数は108〜150%と高い(図1)。密植では中サイズMTは1.0〜3.0gの大〜特大サイズMTと同等の収量性が確保できる。
- MT紙筒移植栽培法
0.1〜0.5gの極小、小サイズのMTが紙筒移植で利用できる。育苗期間は17〜25日間、草丈5〜7pが目安である。 枯凋期は中サイズの直播よりやや早く、普通種いもに近い。密植により枯凋期はやや早まり、いも数が増加し、平均1個重も小さくなり、種いも規格収量、種いも個数が増加する(図2)。
- 機械作業体系
1)播種機によるMT直播播種精度に関して、中サイズの欠株率は,総合施肥播種機、真空播種機とも概ね5%以下である。催芽長が7〜8oと長い場合、株間のばらつきが大きくなる。真空播種機では播種時にMTサイズが大きいほど塊茎や芽の損傷が増加する傾向がみられる。
2)移植機によるMT紙筒苗移植精度に関して、野菜用移植機による株間は,いずれの品種,MTサイズにおいても設定通りである。
3)MT紙筒移植栽培の機械除草に関して、半培土前に2〜3回の中耕作業を行うことにより雑草発生を抑制できる。株間除草機で雑草処理効果が向上する。
4)機械収穫に関して、既存の収穫機で「こぼれ」が少なく収穫できる。
- 本試験の結果より、種馬鈴しょ栽培にMTを使用する場合の栽培体系を表1のとおりまとめた。
[成果の活用面・留意点]
- 「マイクロチューバーを用いた種馬鈴しょの増殖に関する取扱要領」(平成11年3月4日北海道農政部長通知 農産第2506号)を遵守する。
- 播種、移植以降の管理は「北海道種馬鈴しょ生産管理基準」を遵守する。
平成17年度北海道農業試験会議(成績会議)における課題名および区分
「マイクロチューバーによる種馬鈴しょ栽培体系」(指導参考事項)
[具体的データ]
[その他]
研究課題名:マイクロチューバーによる種いも栽培体系の確立
予算区分:委託プロ(ブランドニッポン4系)
研究期間:2002〜2005年
研究担当者:前野眞司、鈴木剛
目次へ戻る