飼育期間の短縮可能な改良型高品質肉用鶏「北海地鶏U」
[要約]
北海地鶏の基礎鶏であるシャモの中型系統を大型系統に置き換えた改良型高品質肉用鶏「北海地鶏U」は、肉質を維持したまま発育が向上し、飼育期間の短縮が可能である。
[キーワード]
[担当]北海道畜試・家畜生産部・特用家畜科
[連絡先]電話0156-64-5321
[区分]北海道農業(畜産草地)
[分類]技術・普及
[背景・ねらい]
「北海地鶏」は、シャモ中型系統の雄にロードアイランドレッドの雌を交配したF1雌鶏に、名古屋種の雄を交配する三元交雑鶏であり、高品質肉用鶏として評価を得ているが、経済性からみて飼育期間の短縮が求められてきた。
そこで、肉質を落とさず発育を向上させるため、北海地鶏の基礎系統の1つであるシャモを中型系統から大型系統に置き換えた改良型高品質肉用鶏「北海地鶏U」を作出し、飼育期間の短縮化を図り、生産効率の向上を目指す。
[成果の内容・特徴]
- F1雌鶏の産卵率は、中型系統にロードアイランドレッドを交配した従来型が70.7%に対し、大型系統を交配した改良型が61.6%と低い傾向にある(表1)。
- F1雌鶏の1羽当りの出荷雛数は、従来型が192羽に対し改良型が134羽と低い傾向にある(表1)。
- 4週齢以降の体重推移は、北海地鶏Uが北海地鶏より有意に重く、大型系統による効果は三元交雑鶏でも顕著である(図1、2)。
- 北海地鶏Uの設定出荷体重(雄2,800g、雌2,200g)に到達する日齢は、雄は99日、雌は105日であり、従来型より雄で12日、雌で11日短縮される。
- 北海地鶏Uの飼料要求率はやや低く、雄は3.68、雌は3.94である。
- と体に対する正肉割合は、北海地鶏と北海地鶏Uの間に差はない(表2)。
- 北海地鶏Uは、肉色ではL*値(明度)が高い傾向にあり、剪断力価は低い傾向にあるが、イノシン酸およびグルタミン酸含量に差はない(表2)。
[成果の活用面・留意点]
- 改良型F1雌鶏は産卵率が低い傾向にあるので、北海地鶏Uを生産する場合は雄種鶏およびF1雌鶏を多く用意する必要がある。
- 悪癖の発生には十分注意し、場合によってはデビーク等の適切な処置を行う。
平成17年度北海道農業試験会議(成績会議)における課題名および区分
「飼育期間の短縮可能な改良型高品質肉用鶏「北海地鶏U」」(普及推進)
[具体的データ]
[その他]
飼育期間の短縮可能な改良型高品質肉用鶏「北海地鶏U」
予算区分:受託
研究期間:2003〜2005年度
研究担当者:國重享子、山田渥、戸苅哲郎
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