ラークスパー心止まり症の被害軽減対策
[要約]
ラークスパー心止まり症は草丈20cm以上の抽苔期におけるカルシウム不足と高湿度条件による生理障害である。発生の少ない品種の選択、除湿、カルシウム資材の土壌混和処理、適正な施肥により軽減できる。
[キーワード]
ラークスパー、心止まり症、品種、カルシウム資材、除湿
[担当]道立花野セ・研究部・病虫科
[連絡先]電話0125-28-2800
[区分]北海道農業・生産環境
[分類]技術・参考
[背景・ねらい]
ラークスパー秋切り栽培は道内産が優位な品目であるが、頂芽が腐敗する心止まり症が多発し商品価値を低下させる。心止まり症の多発生要因を明らかにし、その軽減対策を検討する。
[成果の内容・特徴]
- 7月上〜中旬定植の秋切り栽培では、道内主産地で調査した全てのハウスにおいて心止まり症の発生が認められる。
- 心止まり症の初期症状は草丈20〜55cmで多発し、発生は頂葉から始まる。また、花蕾が形成されると発生はほとんど見られなくなる。
- 7月中旬定植の秋切り作型でラークスパー9品種について心止まり症の発生を比較すると、品種間差異が大きく、「ミヨシのスカイブルー」、「サブライムライトブルー」での発生が多い。また、試験ハウス間で心止まり症の発生に差異が認められ、高湿度状態に保たれた時間が長いハウスBで多発している(図1)。
- 培土にカルシウム資材を1%重混和し、ポリポット(径9cm)で「ミヨシのピンク」を栽培したところ、高熱処理ホタテ貝殻粉末および貝化石粉末・光合成細菌資材混和処理において心止まり症の抑制効果が認められる(図2)。
- 8月上旬定植の秋切り作型で、品種(3品種)、除湿(9月中旬以降の夜間80%設定)、カルシウム資材(1t/10a畦混和)および施肥量(標準と1.5倍量の多肥)の組合わせによる心止まり症対策試験を行ったところ、品種選択による抑制効果が最も高く(図3)、次いで除湿、カルシウム資材の土壌混和処理の順に効果が認められる(図4)。多肥は心止まり症を助長する。
- 心止まり症からの分離細菌の病原性は弱く、症状の再現性も低い。また、再分離菌株は接種菌株と異なることから、分離細菌は心止まり症の進行を助長するが、発生の主因ではないものと考えられる。
[成果の活用面・留意点]
- ラークスパー心止まり症の軽減対策として活用する。
- カルシウム資材の土壌混和処理に当たり、資材の投下量は、土壌診断を行って適正なpHおよびECを維持するように留意する。
平成17年度北海道農業試験会議(成績会議)における課題名および区分
「ラークスパー心止まり症の被害軽減対策」(指導参考)
[具体的データ]
[その他]
ラークスパー心止まり症の多発要因の解明と防除対策
予算区分:道費
研究期間:2003〜2005年度
研究担当者:小松 勉、堀田治邦、野田智昭
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