粒大が大きく、裂皮の少ないだいず新品種「中育52号」 |
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[要約] |
だいず「中育52号」は、百粒重が60g以上と「ユウヅル」よりかなり重く、裂皮の少ない晩生の白目極大粒系統である。加工適性は、納豆に好適で、煮豆等に適する。 |
[キーワード] |
ダイズ、極大粒、煮豆、納豆、煎豆、甘納豆 |
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[背景・ねらい] |
北海道南部(道南)地域では、極大粒大豆の産地品種銘柄“つるの子”、“光黒”が作付けされているが、“つるの子”銘柄の基幹品種「ユウヅル」における裂皮の発生や“光黒”銘柄の価格低下により、生産性や収益性が不安定になっている。そのため、付加価値の高い銘柄となり、品目横断的経営安定対策にも対応する黄大豆の新品種が強く望まれている。 「中育52号」は、百粒重が60g以上の白目極大粒系統で、これまでの道産大豆にはない大きさであり、裂皮の発生も少ないため、大きな粒大の特徴を生かした加工用原料として評価が高く、新たなブランドとして期待できる。 |
[成果の内容・特徴] |
- だいず「中育52号」は平成5年に中央農試で、「新丹波黒」を母、「ツルムスメ」を父として人工交配を行い、以降選抜・固定を進めて育成した系統であり、平成18年の世代はF13である。
- 百粒重が60g以上とこれまでの道産大豆より大きく、“つるの子”銘柄の規格より更に大きいふるい目9.7mm以上の収量が多い(表1、図1)。
- 生豆の種皮色は「ユウヅル」よりやや暗いが、蒸煮豆の明るさは同程度である(表1)。
- 裂皮の難易が「ユウヅル」の“易”に対し“中”である(表2)。
- 煮豆加工適性はメーカーの指向により評価が分かれるが、粒大の特徴を生かした試作試験では評価が優れ、適または可である。豆腐加工適性は可、納豆は好適、煎豆・甘納豆加工は適である(表3)。
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[成果の活用面・留意点] |
- 道南地域の大豆栽培地帯に新たな銘柄として普及する。普及見込み面積は300haである。
- ダイズシストセンチュウ抵抗性は“弱”なので、発生圃場への作付けは避ける。
- ダイズわい化病抵抗性は“弱”なので、適切な防除に努める。
- 種子消毒その他の肥培管理及び収穫調製は従来の極大粒品種に準じて行う。
- 極大粒の特徴を生かした加工用原料としてブランド化が可能である。
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[具体的データ] |
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[その他] |
研究課題名 |
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だいず新品種育成試験 |
予算区分 |
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指定試験 |
研究期間 |
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1993〜2006年度 |
研究担当者 |
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田中義則、白井和栄、村田吉平、三好智明、鴻坂扶美子、高宮泰宏、萩原誠司、足立大山 |
発表論文等 |
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