小豆の吸水性を向上させる研磨技術

[要約]

研磨機の研磨材に耐水研磨紙を使用することにより、外観品質を低下させずに汚れ除去と同時に小豆の吸水性を向上することができる。これにより研磨した小豆は未吸水豆が低減され、煮えムラが小さくなり、加工適性が向上する。

[キーワード]

小豆、研磨機、吸水曲線、加工適性

[担当] 中央農試・生産研究部・機械科
[連絡先] 電話 0123-89-2287,電子メール seika@agri.pref.hokkaido.jp
[区分] 北海道農業・畑作
[分類] 技術・普及

[背景・ねらい]
小豆は他の豆類と異なり、種子表面から吸水せずに種瘤部からのみ吸水が行われるため吸水速度が遅い。このため、長時間の浸漬でも吸水しない未吸水豆が生じ、煮えムラの原因となる場合がある。加工適性向上のためには未吸水豆を低減し、吸水性の改善を図ることが重要である。本試験では、調製工程で利用される研磨機を利用した小豆の吸水性向上技術を開発する。
[成果の内容・特徴]
  1. 縦軸式研磨機のロータに耐水研磨紙を貼って研磨することにより、汚れ除去、つや出しと同時に小豆の吸水性が向上する(図1,写真1、以降これで研磨することをヤスリ研磨とする)。なお、研磨機の処理流量は通常の皮革研磨と同じで良い。
  2. ヤスリ研磨により小豆表面に微細な傷が形成され、種瘤部および子実表面から吸水するため、吸水の立ち上がりが早くなり、吸水が飽和する時間が短縮する(図2)。なお、ヤスリ研磨した小豆は表面傷が原因で農産物検査で格下げとなることは無い。
  3. 未吸水小豆(20℃36時間の浸漬で全く吸水しなかった小豆)を対象にヤスリ研磨をすると、全ての粒が吸水するようになり、煮熟増加比が大きく、あん滓率が小さくなる(表1)。
  4. 一定時間の煮熟では、ヤスリ研磨した小豆のあん収率は慣行の皮革による研磨と比較して高くなり、煮えムラが小さくなる(図3)。また、製あん業者による実需評価は「煮えムラが小さく、皮が軟らかく、炊きやすい」とのことで良好である。
[成果の活用面・留意点]
  1. ヤスリ研磨した小豆は、煮熟後の皮切れが増える場合があるため、本研磨技術は加工用途に応じて利用することが望ましい。
  2. 試験範囲ではヤスリ研磨により研磨剤の粒子が小豆に付着・混入することはなかったが、混入が発生した場合は磁力選別機等の異物除去機や粒径選別機により除去する。
[具体的データ]

 

 

 

 

 

[その他]
研究課題名 豆類の調製(磨き)技術の向上
予算区分 道費(豆基)
研究期間 2004〜2005年度
研究担当者 原 圭祐、木村義彰、石井耕太
発表論文等