飼料用、バイオ燃料用としての利用が期待できる水稲新品種候補「北海飼308号」


[要約]

[キーワード]

[担当]北海道農研・特命チーム員(低コスト稲育種研究チーム、米品質研究チーム)
[代表連絡先]電話 011-857-9260、電子メール seika-narch@naro.affrc.go.jp
[区分]作物、北海道農業・水田・園芸作、バイオマス
[分類]技術・参考


[背景・ねらい]

[成果の内容・特徴]

  1. 水稲「北海飼308号」は、「北陸187号」(後の「夢あおば」)と「初雫」とのF1と「空育163号」(後の「ななつぼし」)との交配後代から育成された系統である。
  2. 育成地における出穂期は「きらら397」並の“中生の早”、黄熟期および成熟期は「きらら397」より遅い“晩生の早”である(表1)。
  3. 育成地における黄熟期の乾物全重は多肥区では142kg/aで、「きらら397」より17%高く(表1)、極多肥区では157kg/aで、「きらら397」より13%高い。
  4. 育成地における黄熟期のホールクロップTDN収量は多肥区では89.3kg/aで、「きらら397」より22%高く(表1)、極多肥区では99.2kg/aで、「きらら397」より17%高く(表2)、飼料として有望である。
  5. 育成地における粗玄米収量は多肥区では82.5kg/aで、「きらら397」より26%高く(表1)、極多肥区では87.2kg/aで、「きらら397」より18%高い(表2)。
  6. 玄米の発酵特性は北海道の多収品種「大地の星」と大きな差はなく(表3)、バイオエタノール原料として有望である。
  7. 穂ばらみ期耐冷性は“やや強”であり、「きらら397」と同ランクである(表1)。
  8. いもち病真性抵抗性遺伝子型は“+”と推定され、圃場抵抗性は葉いもちは“やや弱”、穂いもちは“弱”で「きらら397」より弱い(表1)。
  9. 耐倒伏性は「きらら397」よりやや弱く「ななつぼし」並である(表1)。

[成果の活用面・留意点]

  1. 耐冷性が十分ではないため、冷害危険期の深水管理等十分な対策を講じる。
  2. いもち病抵抗性は十分ではないので、適正な防除に努める。
  3. 耐倒伏性は強くないので、極端な多肥栽培は避ける。
  4. 奨励品種決定調査を継続するとともに、現地栽培実証試験、飼料特性評価試験、発酵特性評価試験を実施して優秀性・有用性を評価し、普及の可能性や栽培可能地帯を検討する。

[具体的データ]

[その他]

 



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