ラットへのナガイモ凍結乾燥粉末給与による食後の血糖値上昇の抑制効果
[要約]
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ナガイモ凍結乾燥粉末添加食を給与することにより、食後のラット血糖値の上昇が抑制される。この効果はスターチまたはショ糖を主体とした両方の食餌で、かつナガイモの加熱の有無に関係なく見られる。
[キーワード]
- ナガイモ粉末、ラット、血糖値上昇抑制、加熱加工
[担当]北海道農研・機能性利用研究北海道サブチーム
[代表連絡先]電話011-857-9260、電子メールseika-narch@naro.affrc.go.jp
[区分]北海道農業・畑作
[分類]研究・参考
[背景・ねらい]
- 糖尿病は非常に患者数が多く、その予防への国民の関心は高い。幾つかある糖尿病の危険因子の中に、食後の血糖値の急激な上昇がある。ナガイモには糖尿病予防効果があると言われてきたが、科学的には証明されていないことから、今回、ラットを用いてナガイモの食後血糖値変動に与える影響について、ナガイモの加熱の有無による影響を炭水化物源の異なる食餌を用いて評価する。
[成果の内容・特徴]
- コーンスターチベース(コーンスターチ含量は53%)の対照食に対し、生または加熱したナガイモの凍結乾燥粉末を食餌全体に対して10%となるように添加した食餌をラットに与えたところ、摂食開始後1時間目の血糖値は、対照と比較して両ナガイモ粉末添加食群で有意に低下する(表1)。また、血糖値上昇の指標である開始後から2時間目までの血糖値の濃度曲線面積値(AUC)において、10%生ナガイモ粉末添加食群で、対照と比較して有意に低くなる(図1(A))。
- コーンスターチベースの対照食に対し、生または加熱したナガイモの凍結乾燥粉末を食餌全体に対して20%となるように添加した食餌をラットに与えたところ、摂食開始後1時間目の血糖値は、対照と比較して生ナガイモ粉末添加食群で有意に低下する(表2)、あるいは加熱ナガイモ粉末添加食群で低下する傾向が見られる。また、開始後から2時間目までの血糖値のAUCにおいて、両ナガイモ粉末添加食で、対照と比較して有意に低くなる(図1(B))。
- ショ糖ベースの対照食(ショ糖含量は45%)に対し、生または加熱したナガイモの凍結乾燥粉末を食餌全体に対して20%となるように添加した食餌をラットに与えたところ、摂食開始後1時間目の血糖値は、対照と比較して両ナガイモ粉末添加食群で有意に低下する(表3)。
[成果の活用面・留意点]
- スターチを用いる加工食品だけではなく、ショ糖が主成分となっている菓子などの原料にナガイモ粉末を用いても血糖値上昇抑制効果が期待できる。
- ナガイモの処理条件やロット、産地の違いにより効果が異なる可能性がある。
[具体的データ]
[その他]
- 研究課題名:イモ類・雑穀類の機能性の解明と利用技術の開発
課題ID:312-a
予算区分:都市エリア事業、基盤研究費
研究期間:2005〜2007年度
研究担当者:橋本直人、野田高弘、鈴木達郎、福島道広(帯広畜大)
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