脳内接種によるBSE感染実験牛のプリオン体内分布および動態


[要約]

[キーワード]

[担当]道立畜試・基盤研究部・遺伝子工学科、感染予防科、病態生理科、動物衛生研・プリオン病研究センター、国立感染症研究所
[代表連絡先]電話0156-64-5321
[区分]北海道農業・畜産草地
[分類]研究・参考


[背景・ねらい]

[成果の内容・特徴]

  1. BSE患畜10%脳乳剤の脳内接種3ヶ月後では中枢神経のいずれの部位からもウエスタンブロット法でPrP-Scは検出されない。音への過剰反応や異常歩様などBSEの臨床症状が出現し始める18ヶ月後より8ヶ月早い脳内接種10ヶ月後の牛の脳幹部で微量のPrP-Scが検出される。接種後19ヶ月以降で解剖した発症後解剖牛においては、脳組織の全域でPrP-Scが検出される(表1)。
  2. 感染牛におけるPrP-Scは、発症期に、急激な蓄積量の増加および体内分布部位の拡大が認められる。
  3. 網膜からは脳内接種12ヶ月以降に高率にPrP-Scが検出される(12頭中11例)
  4. 発症前に解剖した接種16ヶ月後の牛では中枢神経系とその近傍の末梢神経にPrP-Scの蓄積を認める(図1)。
  5. 発症前に解剖した接種19ヶ月後の牛では迷走神経や舌下神経からPrP-Scが検出され、また発症後解剖した接種23ヶ月後の牛では坐骨神経や副腎、迷走神経胸部などの末梢組織からもPrP-Scが検出される(図1表2)。
  6. 臨床症状が確認される9頭のBSE脳内感染実験牛の経時的な血液検査では、BSEの感染に伴う変化は認められず、血液成分の解析によるBSEの生前診断は困難である。

[成果の活用面・留意点]

  1. 本試験の成果および採取した生体材料はBSEなどプリオン病研究に活用される。
  2. 本試験の成果は自然発症もしくは経口感染牛と比較することでBSEの病態解明に活用できる。

平成19年度北海道農業試験会議(成績会議)における課題名および区分
「BSE脳内感染実験牛のプリオン体内分布」(研究参考)

[具体的データ]

[その他]

 



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