泌乳牛用TMRにおけるチモシー2番草サイレージの栄養評価
[要約]
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再生期間60日程度のチモシー2番草サイレージを用いた粗濃比50:50のTMRは泌乳牛用飼料として十分充分利用できる。
[キーワード]
- 乳牛、2番草、サイレージ、消化率、産乳性
[担当]道立根釧農試・研究部・乳牛飼養科
[代表連絡先]電話0153-72-2036
[区分]北海道農業・畜産草地
[分類]技術・参考
[背景・ねらい]
- 牧草サイレージ収量の約4割をしめる2番草サイレージは、その栄養評価に関する情報が少ない。生産現場では1番草刈り取り後の施肥管理、2番草サイレージの刈り取り時期や調製条件が多岐にわたっており、「嗜好性が悪い」、「栄養価が低い」あるいは「腹持ちが悪い(ルーメン内の滞留時間が短い)」などと評価されている。この低い評価は経験に基づくことが多く、また2番草それ自体の要因と草地管理や調製技術上の要因が混在した評価であり、整理されていないのが現状である。そこでチモシー(TY)2番草サイレージ(2ndGS)の栄養特性に焦点を当てて検討する。
[成果の内容・特徴]
- TY1番草サイレージ(1stGS、出穂期)、あるいはTY2ndGSを粗飼料としても、DMI(21.4〜21.9kg/日)および4%FCM(34.5〜35.2kg/日)に差はない。2ndGSの化学成分の特徴はCPとNFC含量は高くNDF含量は低いこと、消化率の特徴は、NDFは低く、NFCは高いことである。2ndGSを用いたTMRは、TY1stGS利用時に比べて、TDNは低くCPは高くなり、その結果、MUNは高くなる(表1)。
- TY2ndGSのNDF消化率は、2番草の再生期間が長くなると低下する。再生期間40日程度の2ndGSを用いたTMRは、TY1stGS(出穂期)利用時のTMRと同等の栄養価となり、再生期間60日程度の場合でもTDN含量は72%程度となる(表2)。
- TY2ndGSの給与割合を50%から60%に高めると、DMIの低下、ルーメン内容液のA/P比の上昇がみられ、2番草サイレージにも繊維の効果・作用があると推察される(表3)。
- 再生期間60日程度のTY2ndGSを用いたTMR(粗濃比50:50)の一乳期給与は、TY1stGS(出穂期)を用いた場合と比較して、乳生産性および繁殖性に有意差は認められない(表4)。
- 以上のように、再生期間60日程度のTY2ndGSを用いた粗濃比50:50のTMRは泌乳牛用飼料として十分利用できる。
[成果の活用面・留意点]
- 草地酪農地帯でチモシー2番草サイレージを泌乳牛用TMRに利用する上で有効な技術情報である。
- 適正に調製された細切サイレージの利用を前提とする。
- 2番草の早刈りは、再生草の残留や植生悪化の可能性があり、実施には十分な注意が必要である。
平成19年度北海道農業試験会議(成績会議)における課題名および区分
「泌乳牛用TMRにおけるチモシー2番草サイレージの栄養評価」(指導参考)
[具体的データ]
[その他]
- 研究課題名:地域資源を有効活用した自給粗飼料主体TMR供給システムの開発
予算区分:道費(重点領域特別研究)
研究期間:2005〜2007年度
研究担当者:昆野大次、大坂郁夫、糟谷広高
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