寒冷条件下でも有効な鶏死体の発酵消毒法


[要約]

[キーワード]

[担当]道立畜試・環境草地部・畜産環境科、家畜研究部・中小家畜飼養科
[代表連絡先]電話0156−64−5321
[区分]北海道農業・畜産草地
[分類]行政・参考


[背景・ねらい]

[成果の内容・特徴]

  1. 冷涼条件下における発酵消毒法(開始時日平均気温12℃、試験期日平均気温−3〜12(平均5℃)
    (1) 堆積物の5部位 (図1:1中央底部,2中央部,3中央上部,4端中部,5端底部) で測定した温度はいずれも、ウイルス不活性化の指標とされる56℃以上に達する(図2)。また、暗きょ管を底部に設置して自然通気を促すことで、堆積深部の温度の上昇を早める効果がみられる。
    (2) 切り返し時および終了時に、温度測定部位で採取した材料から大腸菌は検出されなかった。
    (3) 堆積状態での臭気は堆肥の発酵臭であり、腐敗臭は感じられない。切返し(14日後)および終了時(44日後)に堆積物を崩したときにはアンモニア由来の強い刺激臭が感じられる。
    (4) 終了時には内臓、筋肉、羽などは完全に分解され、鶏死体は残渣と骨だけになる(写真1)。
  2. 寒冷条件下における発酵消毒法(日平均気温は−4〜2(平均−1)℃)
    (1) 堆積物の5部位 (図1:1中央底部,2中央部,3中央上部,4端中部,5端底部)で測定した温度はいずれも、ウイルス不活性化の指標とされる56℃以上に達する(図2)。全体に冷涼条件より発酵・分解の進行が遅い。
    (2) 温度測定部位に埋設した生ワクチンのウイルス力価は、著しく低下した。(表1)。
    (3) 堆積状態での臭気は堆肥の発酵臭であり、腐敗臭は感じられない。切返しおよび終了時に堆積物を崩したときにはアンモニア由来の強い刺激臭が感じられる。
    (4) 終了時には筋肉の一部が確認されるが、鶏死体のほとんどは残渣と骨になる(写真1)。
  3. 以上のように、冷涼・寒冷条件下において混合法による鶏死体の発酵消毒が可能である。

[成果の活用面・留意点]

  1. 本成績は養鶏場および関係機関が鳥インフルエンザに対する防疫体制を検討する場面で活用される。
  2. 必要な発酵資材を確保する。本試験は発酵資材として鶏ふん・オガコ混合物(容積重約0.5kg/L)を鶏死体に対して重量比で2.3〜2.5倍量、重量・容積比で約5倍量を使用した。
  3. 本試験は鶏を殺処分後すみやかに屋根のある環境(ビニルハウスあるいは畜舎)で発酵消毒したものである。また、発酵資材は凍結していない状態で供試した。
  4. 切返し時にウイルス死滅温度に達しない部位もあるため、消毒終了まで病原体の拡散防止に留意する。
  5. 発酵温度の測定は、温度上昇が緩慢な堆積物の表面から最も遠い部位で測定することが望ましい。

平成19年度北海道農業試験会議(成績会議)における課題名および区分
「寒冷期における鶏死体の発酵消毒法」(行政参考)

[具体的データ]

[その他]

 



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