熱処理木質チップの畜産脱臭資材および土壌改良材としての利用


[要約]

[キーワード]

[担当]道立畜試・環境草地部・畜産環境科、道立花野技セ・研究部・花き科、野菜科、栽培環境科、道立林産試・利用部・化学加工科
[代表連絡先]電話0156-64-5321
[区分]北海道農業・畜産草地
[分類]技術・参考


[背景・ねらい]

[成果の内容・特徴]

  1. 熱処理チップを50cmの厚さで充填した吸着槽に、肉牛ふん尿の通気式堆肥化槽の排気を見かけ通気速度10〜40mm/秒で通すことで、アンモニア発生のピーク時における吸着槽からの排気中の高濃度アンモニア(600〜800ppm)をほぼ0ppmまで低減できる。
  2. 熱処理チップのアンモニア吸着可能量は広葉樹を原料とした資材で10.12〜10.24gN/kg、針葉樹を原料とした資材7.7gN/kgであった(表1)。広葉樹を原料とした資材の重量あたりアンモニア吸着能は、現在使用されている吸着資材であるオガコ・もみ殻・ゼオライト等に比べ2倍以上である。
  3. 熱処理チップ施用による堆肥施用に対する土壌物理性改善効果は、気相率の増加、容積重の低下、易有効水分量の増加である。跡地土壌の化学性は、堆肥施用のものとほぼ同等である。
  4. 熱処理チップの土壌中における窒素放出率は、ハウス(アルストロメリア)、露地(アスパラガス)ともに、施用後6ヶ月で30〜40%、以降で50%程度となり(図1)、熱処理チップの吸着窒素量を10gN/kgとすると、窒素放出量は1tあたり初年目3〜4kg、2年目1kgと予想される。そこで、熱処理チップの施用量は、窒素放出量が各作物に標準量を施用したときの堆肥からの窒素放出量(アルストロメリア8kgN/10a、アスパラガス10kgN/10a)とほぼ同等になる2t/10aが適当である。
  5. アルストロメリアの栽培において、熱処理チップを堆肥と同重量施用した場合の収量および切り花品質は堆肥と同等である(図2)。アスパラガス定植時に土壌改良資材として熱処理チップを施用し、定植初年〜3年目の地上部生育および収穫調査を実施した結果、生育および収量は慣行区(堆肥10t施用区)と同等である(表2)。

[成果の活用面・留意点]

  1. 本成績は畜産における臭気対策技術および使用済吸着材の土壌改良材としての再利用方法として活用できる。
  2. 熱処理チップの土壌施用に関する成果はアルストロメリア、アスパラガスの定植・改植時を対象として得られたものである。

平成19年度北海道農業試験会議(成績会議)における課題名および区分
「木質チップから製造されたアンモニア吸着材の畜産場面および土壌改良材としての利用」(指導参考)

[具体的データ]

[その他]

 



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