アスパラガス立茎栽培における病害虫管理技術


[要約]

[キーワード]

[担当]道立花野技セ・研究部・病虫科、道立中央農試・環境保全部・クリーン農業科
[代表連絡先]電話0125-28-2800
[区分]北海道農業・生産環境
[分類]技術・参考


[背景・ねらい]

[成果の内容・特徴]

  1. 現地実態調査より、立茎栽培では斑点病およびネギアザミウマが夏芽収穫期から発生し、問題となっている。
  2. 斑点病に対しては、発病が蔓延し始める8月中旬頃からのトリミングと薬剤散布により防除する。近紫外線除去フィルム(UVC)は被覆2年目までは斑点病の抑制効果が期待できる(表1)。慣行の水平方向灌水に比較し点滴灌水で斑点病の抑制効果が期待できる。
  3. 斑点病は収穫終了時において少発生であれば翌年の春芽収量に影響はない。
  4. ネギアザミウマは、立茎開始から寄生し、7月後半に増え始め栽培終了まで増加する。被害は、疑葉のかすり状食痕、若茎の傷や鱗片葉の褐変による商品価値の低下である。
  5. ネギアザミウマに対しては、UVCと光反射資材の侵入抑制効果が高く有効であるが(図1)、光反射資材は汚れで効果が低下する。UVCは被覆3年目も効果がみられる。有効薬剤は、アセタミプリド水溶剤、クロチアニジン水溶剤、ついでスピノサド水和剤DFであり、7日間隔2回散布や、トリミング後の散布で効果が高まる。
  6. 立茎栽培でジュウシホシクビナガハムシ(以下、ハムシ)成虫は春芽収穫時から発見され、10月上旬まで認められる。新成虫は7月上旬から羽化し、8月中旬以降は新成虫が主体となる。幼虫は主に立茎開始の6月中旬以降10月上旬まで観察される。
  7. ハムシ成虫による被害は主に春芽の食害であり、3頭/10株以上になると食害率が10%を超える。2005年の放虫試験のように、ハムシ幼虫が6月上中旬に約50頭/100側枝と多発して茎葉上部がほうき状になると、当年夏芽と翌年春芽の収量の減少を招く(図2)。
  8. 春芽収穫終了後のハムシ幼虫に対する薬剤防除は、幼虫の食害による減収を防ぐとともに、次世代成虫の密度を低減させ若茎への食害を抑制する効果がある(図2)。
  9. ハムシ幼虫に対して、収穫前日に使用できる薬剤では、ペルメトリン乳剤とアセタミプリド水溶剤の効果が高く、残効は10〜14日間認められる。
  10. 以上をまとめた主要病害虫の管理技術は図3のとおりである。

[成果の活用面・留意点]

  1. アスパラガス立茎栽培における斑点病、アザミウマおよびジュウシホシクビナガハムシの対策に利用する。
  2. ジュウシホシクビナガハムシに対する薬剤防除は幼虫の発生に対応して行う。
  3. 近紫外線除去フィルムによる斑点病の抑制効果は、被覆3年目以降は期待できない。
  4. 光反射資材は表面が汚れると効果が低下するが、洗浄により効果は回復する。

平成19年度北海道農業試験会議(成績会議)における課題名および区分
「アスパラガス立茎栽培における病害虫管理技術」(指導参考)

[具体的データ]

[その他]

 



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