ばれいしょの病害虫抵抗性遺伝子を選抜するDNAマーカー
[要約]
DNAマーカーによって、ジャガイモシストセンチュウ抵抗性遺伝子H1およびジャガイモYウイルス抵抗性遺伝子Rychcを判定できる。
[キーワード]
ジャガイモシストセンチュウ、ジャガイモYウイルス、抵抗性遺伝子、DNAマーカー
[担当]道立中央農試・基盤研究部・遺伝子工学科
[代表連絡先]電話0123-89-2584
[区分]北海道農業・生物工学
[分類]研究・普及
[背景・ねらい]
ばれいしょの病害虫抵抗性品種を早期に育成するために、ジャガイモシストセンチュウ抵抗性遺伝子H1およびジャガイモYウイルス抵抗性遺伝子Rychcを検出するDNAマーカーを開発する。現在、実用的なDNAマーカーはないことから、高精度で使いやすいマーカーの開発をめざす。
[成果の内容・特徴]
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DNAマーカーによって、ジャガイモシストセンチュウ抵抗性遺伝子H1およびジャガイモYウイルス抵抗性遺伝子Rychcを判定できる(表1)。PCR反応は、HotStar
Taq DNA Polymerase(QIAGEN)を利用する。アニーリング温度は55℃とする。
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H1遺伝子、Rychc遺伝子ともに、遺伝子の両側を挟む2マーカーを同時に増幅することにより、精度よく検定できる。また、ばれいしょの顆粒性澱粉合成酵素遺伝子GBSSを検出するプライマーペアを追加し、必ず981bpの増幅断片が得られるように設計することでPCR作業エラーによる誤判定を回避できる(図1)。
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一個体から抽出したDNAでシストセンチュウおよびYウイルス抵抗性遺伝子のマーカー検定に利用できるため、効率的である。
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検定期間は、従来法ではシストセンチュウおよびYウイルスともに2〜3か月間を要したが、DNAマーカー検定では1日に200点程度を処理できる。
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検定試料は、従来法では休眠を打破した塊茎が必要であるが、DNAマーカー検定では葉に加え、塊茎からのDNA抽出法(表2)も確立したため、検定は通年で実施可能である。
[成果の活用面・留意点]
- 本研究で開発したDNAマーカー検定法は、ばれいしょの品種改良における選抜に活用できる。
平成20年度北海道農業試験会議(成績会議)における課題名および区分
「ばれいしょの病害虫抵抗選抜に有効なDNAマーカー」(研究参考)[具体的データ]
[その他]
研究課題名:マーカー選抜によるジャガイモシストセンチュウ抵抗性品種の早期開発
マーカー選抜によるジャガイモYウイルス抵抗性品種の早期開発
予算区分:民間受託
研究期間:2004〜2008年度
研究担当者:竹内徹、佐々木純、鈴木孝子、堀田治邦、樋浦里志、池谷聡、藤田涼平、千田圭一
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