空気膜フィルムハウスの特性および燃料節減効果
[要約]
空気膜フィルムの利用により慣行フィルムハウスの燃料消費量を約30%節減することができる。空気膜フィルム使用ハウス内の照度は10〜20%低下するが、耐風性や雪の滑落性にはほとんど問題がない。
[キーワード]
[担当]道立花野技セ・研究部・花き科
[代表連絡先]電話0125-28-2800
[区分]北海道農業・水田・園芸作
[分類]技術・参考
[背景・ねらい]
燃料費が高騰している中、ハウス暖房用燃料を節約する対応が求められている。近年、保温性が高いとされる空気膜フィルム(送風口付き二重フィルム)を展張したハウスが徐々に普及してきているが、寒地での試験例が少ない。慣行ハウスと比較し、空気膜フィルムハウスの燃料費の節減程度を明らかにする。あわせてフィルムの透光性や雪の滑落性、耐風性、防曇性などを明らかにする。
[成果の内容・特徴]
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加温設定温度12℃で対照の慣行ハウスに比べ1〜2月で約30%の燃料を節約できる。 気温が高くなるにつれて節減率が低くなる(図1)。
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加温期間の12〜3月の空気膜ハウス内の平均気温は1.5〜2.0℃前後高くなり、最低、 最高気温も空気膜ハウスの方が高い。湿度は同等である(図2)。
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加温期間の地温は空気膜ハウスの方が1.5〜2.0℃程度高くなる
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無加温期間の4〜10月では気温、地温とも慣行ハウスとの差は認められない。
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空気膜ハウス内平均照度は慣行ハウスに比べ12〜2月中旬まで20%、2月下旬〜10 月までは10〜15%低下する(図3)。
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耐風性(試験期間中最大風速15m/s)に問題はない。雪の滑落性はほぼ同等であった が低温無風時などにやや低い傾向も認められる
。空気膜フィルムの間での結露はほとん ど認められない。
- 空気膜ハウスのチューリップは生育、開花が早く、切り花品質が優れる(表1)。
[成果の活用面・留意点]
- 燃料削減を目的とする空気膜フィルム導入時の参考とする。経済性も考慮し、加温期 間の長い作型について採用を検討する。
- 本試験は東罐興産株式会社「ふくら〜夢」を使用して実施したものである。
- ハウス内の照度が10〜20%程度低下するため作付品目選定に留意する。
平成20年度北海道農業試験会議(成績会議)における課題名および区分
「空気膜フィルムの特性および燃料節減効果」(指導参考)[具体的データ]
[その他]
研究課題名:空気膜フィルムを使用した暖房費節約評価試験
予算区分:受託
研究期間:2006〜2007年度
研究担当者:生方雅男
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