根中糖分が高く、製糖品質が優れるてんさい新品種候補「北海98号」
[要約]
てんさい「北海98号」は、国際共同研究により育成した単胚・三倍体一代雑種系統であり、根中糖分が高い。また、不純物価が低く、製糖品質が優れる。
[キーワード]
[担当]北海道農研・寒地バイオマス研究チーム
[代表連絡先]電話011-857-9260、電子メールseika-narch@naro.affrc.go.jp
[区分]作物、北海道農業・畑作
[分類]技術・参考
[背景・ねらい]
てんさい製糖業においては、消費量の漸減や輸入等との競合などの理由から、生産コストの大幅な削減が求められている。製糖工程において、高糖で製糖品質が優れた原料は製糖歩留まりが良く、製糖コストを低減することができるため、製糖会社からは、高糖で製糖品質が優れた品種の育成に対する要望が強い。他方、糖分取引制度による原料の買い入れにおいて、糖分が基準糖度に達しにくい、いわゆる低糖分圃場においては、糖分が高い高糖性品種の作付けは糖分向上対策として有効であり、農家所得の向上に貢献すると期待される。そこで、根中糖分が高く、製糖品質が優れるてんさい系統を育成する。
[成果の内容・特徴]
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「北海98号」は、 ベルギーのセスバンデルハーベー社との国際共同研究「てん菜優良一代雑種の早期育成に関する研究」により育成した単胚・三倍体一代雑種系統である。
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「北海98号」は「カブトマル」と比べて開平型の葉姿で、葉形は丸く、葉身は大きい特徴を有する(表1)。
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「北海98号」の収量特性は「カブトマル」と比較して根重がやや劣り、糖量は並であるが、根中糖分がかなり高い(表2)。
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「北海98号」は製糖品質の指標である不純物価が低く、製糖品質が優れる(表2)。
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生産力検定試験における「北海98号」の褐斑病発病程度は「カブトマル」に比べて低く、根腐症状株の発生は2カ年とも認められない。また、抽苔株の発生は「カブトマル」並である(表3)。
[成果の活用面・留意点]
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今後、系統適応性検定試験,特性検定試験および現地栽培実証試験を実施して優秀性・有用性を評価し、普及の可能性を検討する.
[具体的データ]
[その他]
研究課題名:てん菜の省力・低コスト栽培のための品種の育成
課題ID : 211-f
予算区分 : 基盤
研究期間 : 2004〜2008年度
研究担当者:岡崎和之、阿部英幸、高橋宙之、田口和憲、黒田洋輔、中司啓二、大潟直樹
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