固形飼料給与量の制御による乳用子牛の4週齢離乳法
[要約]
哺乳期間の人工乳や粗飼料給与量を制御した4週間、6L/日哺乳の飼養は、標準哺乳(6週間、4L/日)で固形飼料を自由摂取させた場合と同等の発育が期待できる。また、良質粗飼料や乾燥ダイコンの併給は9週齢以降の発育を改善する。
[キーワード]
[担当]道立根釧農試・研究部・乳牛飼養科
[代表連絡先]電話0153-72-2004
[区分]北海道農業・畜産草地
[分類]技術・普及
[背景・ねらい]
カーフハッチは、作業量は多いが衛生的で精密な個体管理が可能である。早期離乳は作業の軽減となるため生産現場から望まれているが、現在では6週齢離乳が基準となっている。離乳時期を6週齢よりも早めるためには、子牛に望ましい飼料を選択するとともに、生理機能に基づいた哺乳期間や哺乳量、人工乳、粗飼料の給与量を決定して、各飼料を制御する必要がある。そこで本課題では、未利用資源(規格外乾燥ダイコン)も利用して、離乳後も発育を低下させない乳用子牛の4週齢離乳法を示す。
[成果の内容・特徴]
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乾草は繊維含量が多く易発酵性炭水化物割合が少ない。人工乳は易発酵性炭水化物割合が多いが、繊維含量は少ない。乾燥ダイコンは人工乳の成分に近く、糖分は高い(表1)。
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哺乳期に人工乳だけを給与する(S0区)と、3週齢までの人工乳摂取量が高まる。人工乳と乾草の給与(SH区)は、体重の増加量を高める
(図1)。人工乳と乾燥ダイコンの給与
(SR区)は、SH区より物理的効果が少ない。S0区で第一胃内に毛玉(写真)や敷料、胃壁に飼料片の付着があることから、物理的効果のある粗飼料を給与する必要がある。
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SH区の日齢と人工乳摂取量はy = 1.2224x2 - 17.264x +
115.29(r2=0.99)の二次式で示され、第一胃絨毛の発達阻害がない3週齢までの最大摂取量は原物換算で300g/日程度と推定される。全頭の哺乳期の人工乳摂取量と乾草または乾燥ダイコン摂取量の二次回帰式から、人工乳摂取量が低下しない量はいずれも原物換算で約50g/日と推定される。
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上記の結果を基に、哺乳期間の固形飼料給与量を制御した4週齢離乳の発育は、固形飼料を自由摂取させた6週齢離乳(NH区)のそれと同等になる(表2:EH区vs
NH区)。低質乾草(TDN53%)に乾燥ダイコンを併給すると9週齢以降に発育は改善される(表2:ER区vs
EH区)。良質乾草(TDN70%)に乾燥ダイコンを併給する効果はないが、いずれも9週齢以降の発育が良好となる(表2:R区・H区)。
[成果の活用面・留意点]
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本試験は全て代用乳とテクスチャータイプの人工乳を用いた。
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子牛の生時体重が35kg未満の場合の哺乳量は、体重の14%程度を目安とする。
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カーフハッチの利用が効果的であるが、個体管理可能な他の飼養体系にも応用できる。
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本試験における乾燥ダイコンの最大摂取量は13週齢で1200g/日であった。
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ホルスタイン種での利用が前提だが、基礎的知見は他品種についても応用できる。
平成20年度北海道農業試験会議(成績会議)における課題名および区分
「カーフハッチにおける乳用子牛の4週齢離乳法」(指導参考)[具体的データ]
[その他]
研究課題名:若齢子牛におけるダイコンの飼料特性の評価
予算区分:民間共同
研究期間:2005〜2007年度
研究担当者:大坂郁夫、上田和夫(現JICA職員)
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