乳牛の産褥期における発熱と乳量・飼料摂取量および疾病発生との関係
[要約]
分娩後の発熱は疾病発生に大きく関係し、また乳量および乾物摂取量に影響を与えるため、分娩後13日間は体温測定を行なうことが望ましい。特に分娩介助を行なった初産牛は必ず体温測定を行なう必要がある。
[キーワード]
[担当]道立根釧農試・研究部・乳牛繁殖科
[代表連絡先]電話0153-72-2042
[区分]北海道農業・畜産草地
[分類]技術・参考
[背景・ねらい]
乳牛では産褥期に疾病が多発し、多大な経済的損失を招いている。乳牛の健康状態を監視する有効な手法の一つとして体温測定があり、近年産褥期の定期的な体温測定が推奨されている。しかし生産現場ではその有用性が未だ浸透していない。本課題では産褥期の乳牛において発熱状況と健康状態の関係および飼養成績に与える影響について調査し、定期的な体温測定の有用性を実証する。
[成果の内容・特徴]
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分娩後13日間に初産牛は60%、経産牛は39%の牛で発熱する(表1)。発熱牛群の体温推移は分娩後3日目に最高体温を示す。定期的な体温測定により、発熱牛の約70%を分娩後4日目までに検出することが可能である。
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分娩介助を行なった初産牛は発熱する割合が84%と有意に高い。また初産牛では胎盤停滞および子宮・腟の炎症を発症した牛のほとんどが発熱する(表2)。
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分娩後に発熱する初産牛では産褥期の乾物摂取量が有意に低下し(P<0.01)、経産牛では産褥期の乳量が低い傾向にあった(P=0.07)。特に初産牛における40℃以上の高熱は乾物摂取量(DMI)への影響が大きい(表3)。
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表4に産褥期における体温測定のポイントを示す。
[成果の活用面・留意点]
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本成績の知見は、産褥期における乳牛の体温測定を普及推進する資料として利用する。
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本成績における体温とは直腸温である。
平成20年度北海道農業試験会議(成績会議)における課題名および区分
「乳牛の産褥期における発熱と乳量・飼料摂取量および疾病発生との関係」(指導参考)[具体的データ]
[その他]
研究課題名:先進的家畜管理システムの開発 2.健康状態監視システムの開発
予算区分:受託(民間)
研究期間:2006〜2008年度
研究担当者:小山毅、南橋昭、松井義貴、中村正明
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