ピーマンのトウガラシマイルドモットルウイルス新病原型に利用する弱毒ウイルス
[要約]
トウガラシマイルドモットルウイルス(PMMoV)の弱毒ウイルス(L3-16株、L4-1001株、L3-2003株、L4-1004株)の新病原型(P1.2.3.4)による接触伝染への防除効果と収量への影響を明らかにした。
[キーワード]
[担当]道立中央農試・基盤研究部・遺伝子工学科
[代表連絡先]電話0123-89-2001
[区分]北海道農業・生産環境
[分類]研究・参考
[背景・ねらい]
ピーマン品種において利用されているトバモウイルス抵抗性遺伝子L4を打破する新型PMMoV系統新病原型に利用するため、中央農研・生物的病害制御研究チームが開発中の弱毒ウイルス候補株について接触伝染への効果や収量への影響について検討し、弱毒ウイルス開発に必要な情報を得る。
[成果の内容・特徴]
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北海道で主に栽培されているピーマン品種「みおぎ」においてL3-16弱毒株、L4-1001弱毒株の新病原型による接触伝染防止への防除効果は高い(表1)。それに対しL3-2003弱毒株、L4-1004弱毒株の新病原型による接触伝染防止への防除効果はやや低い(表2)。
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L3-16弱毒株、L4-1001弱毒株の収量への影響は収量や草丈の低下は認められない(表3)。しかし、へこみ果(果実が軽く変形)の発生は両弱毒接種区で規格内収量の約30%と無接種に比較して多くなる。また、夜温が10℃以下となる9月末以降、収量の低下が認められる。新病原型接種区では27%の減収率となり、モザイク果とへこみ果をあわせた変形果の発生は規格内収量の71%に達する。
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.へこみ果の発生を抑えるためウイルス増殖量を抑えたL3-2003弱毒株、L4-1004弱毒株を用いたところ、へこみ果の発生は無接種区に比べ有意差は認められない程度に留まる(表4)。しかし、規格内収量の減収率はL3-2003弱毒区とL4-1004弱毒区は、L3-16弱毒区、L4-1001弱毒区に比べ増加する。ピーマン品種「さらら」および「あきの」への接種ではへこみ果の発生は少なく,「あきの」では収量低下も認められない。また、本試験で供試した弱毒株はいずれも栽培期間中に強毒化していない。
[成果の活用面・留意点]
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本成績はPMMoV新病原型に対する弱毒ウイルス開発のための参考とする。
平成20年度北海道農業試験会議(成績会議)における課題名および区分
「ピーマンのトウガラシマイルドモットルウイルス新病原型に利用する弱毒ウイルス」(研究参考)[具体的データ]
[その他]
研究課題名:施設野菜における生物機能を活用した環境負荷低減技術の開発
予算区分:委託プロ(生物機能)
研究期間:2007〜2008年度
研究担当者:佐々木純、堀田治邦
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