道北部におけるダイズシストセンチュウの発生実態および小豆への減収被害
[要約]
ダイズシストセンチュウは、上川、留萌地方の広範囲に分布している。本線虫による小豆の減収は、播種時密度が中密度(10〜100卵・幼虫/g乾土)の場合20%以上、高密度(100卵・幼虫以上/g乾土)の場合50%以上と予想できる。
[キーワード]
小豆、ダイズシストセンチュウ、減収、線虫密度、発生実態
[担当]道立上川農試・研究部・病虫科
[代表連絡先]電話0166-85-2200
[区分]北海道農業・生産環境
[分類]技術・参考
[背景・ねらい]
道北部におけるダイズシストセンチュウの発生実態および小豆への減収被害を明らかにし、殺線虫剤の施用による被害軽減効果を明らかにする。
[成果の内容・特徴]
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ダイズシストセンチュウは、上川および留萌地方の広範囲に分布している(図1)。発生圃場では本線虫の寄主作物(大豆、小豆、菜豆)がほぼ2年に1回栽培され、無発生圃場では同5年に1回程度であることから、寄主作物の過作による密度増加および被害の助長が推察される。
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播種時のダイズシストセンチュウ卵・幼虫数の増加に伴って小豆子実重は品種にかかわらず減少するが、低密度(10卵・幼虫/g乾土未満)の場合、無線虫と比較して有意差がない(図2)ため、被害が生じる可能性は低い。
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線虫密度が中密度(10〜100卵・幼虫/g乾土)以上で減収し(図2,表1)、中密度での減収は20%以上、高密度(100卵・幼虫以上/g乾土)での減収は50%以上と推測される。また、シスト寄生程度は低密度で概ね0〜50、中密度で50〜75になると推測される(図2)。なお、線虫密度区分はジャガイモシストセンチュウの密度区分を参考に設定している。
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オキサミル粒剤30kg/10a全面処理(土壌混和)によりシスト寄生程度は抑制され、子実重が増加する。ホスチアゼート粒剤20kg/10a全面処理(土壌混和)はオキサミル粒剤30kg/10aと比較して同等〜やや劣る(表2)。
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播種時のダイズシストセンチュウ密度区分と予想される小豆減収被害および対策を表3に示す。
[成果の活用面・留意点]
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小豆のダイズシストセンチュウ対策の参考とし、発生圃場では密度低減に努める。
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線虫密度の計数は「北海道ジャガイモシストセンチュウ防除対策基本方針の推進について」(最終改正:平成19年5月18日付け食政第241号)別記2に準じて行う。
平成20年度 北海道農業試験会議(成績会議) における課題名および区分
「道北部におけるダイズシストセンチュウの発生実態および小豆への減収被害」(指導参考)[具体的データ]
図2.ダイズシストセンチュウ密度と小豆子実重およびシスト寄生程度との関係(ポット試験、平成19-20年)
注)凡
例は品種・年次・接種源を表す。エリモ→エリモショウズ、とよみ→とよみ大納言、おとめ→きたの
おとめA:A市由来 B:B町由来
[その他]
研究課題名:小豆のダイズシストセンチュウによる被害実態解析と被害予測手法の確立
予算区分:道費(日豆基)
研究期間:2006〜2008年度
研究担当者:東岱孝司
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