北海道農耕地における硝酸性窒素による地下水の汚染リスクと軽減対策
 


[要約]

[キーワード]

[担当]道立中央農試・環境保全部・農業環境科/土壌生態科、道立中央農試・生産環境部・栽培環境科、道立十勝農試・生産研究部・栽培環境科、道立北見農試・生産研究部・栽培環境科、道立地質研・環境地質部・水理地質科/環境工学科、環境研・環境科学部・環境GIS科、環境研・環境保全部・水質環境科
[代表連絡先]電話0123-89-2580
[区分]北海道農業・生産環境
[分類]技術・参考


[背景・ねらい]

[成果の内容・特徴]

  1. 米国環境保護庁のDRASTIC評価法を応用し、5項目の自然要因(地下水面までの深さ、地下水涵養量、土壌の性質、地形、不飽和層の性質)から地下水の潜在的汚染リスクを評価可能である(図1)。脱窒などの窒素浄化能を持つ水田や全般に窒素投入量が少なく持ち出し量が多い牧草地に比べ、普通畑では汚染リスク区分と地下水の硝酸性窒素濃度との間により明確な対応関係が認められる(データ省略)。
  2. 水質分析による汚染源の特定にはヘキサダイアグラムと窒素安定同位体比の併用が有効である。1の手法で高リスク地域と判定された小流域Aでは、融雪水の浸透時期に地下水の硝酸性窒素濃度が環境基準(10 mg/L)を超えることが多く、肥培管理実態調査と水質分析から、この主因は過剰施肥にあると推定された(データ省略)。
  3. たまねぎ畑における振動式全層破砕処理による耕盤層破砕は、根張りの改善による10%程度の増収と窒素吸収量の増加をもたらし、硝酸汚染リスク軽減に寄与できる(表1)。無機態窒素が土壌に残存しやすい露地野菜畑では、後作緑肥の導入と次作物での窒素減肥が汚染軽減に効果的である。播種期が早く900℃以上の積算温度を確保できる場合には炭素率が低いシロカラシやひまわりが適し、播種期が遅く積算温度が600〜900℃の場合はイネ科緑肥(えん麦、えん麦野生種、ライ麦)が適する(表2)。
  4. 小流域Aに対する各種汚染軽減技術の導入効果を窒素環境容量(作物による持出し窒素量+年間余剰水量に対応する残存許容量)に対する投入窒素の超過量で評価すると、現状は平均2.9 kg/10aであるが、土壌診断に基づく施肥量の適正化で-0.6 kg/10aに低下し、これに振動式全層破砕処理や後作緑肥を導入すると-1.2 kg/10aまで削減でき、流域全体で汚染が軽減される方向に進むと予測される(図2)。

[成果の活用面・留意点]

  1. 本成果は道・市町村段階における地下水水質改善対策の参考になるとともに、農業現場での窒素負荷軽減に活用できる。
平成20年度北海道農業試験会議(成績会議)における課題名および区分
「北海道農耕地における硝酸性窒素による地下水の汚染リスクと軽減対策」(指導参考)

[具体的データ]

[その他]




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